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映画『ズートピア』の解説(ネタバレ有)可愛らしい動物たちが描く人種差別への答え

ズートピア

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第44回の movie labo は『ズートピア』。

画像引用元:ⓒ Pixar Animation Studios

2016年公開のコメディ・アドベンチャーアニメ映画。

監督リッチ・ムーア、バイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ。
脚本ジャレド・ブッシュ、フィル・ジョンストン。108分。

監督に『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワード、『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーア、音楽に『カールじいさんの空飛ぶ家』でアカデミー賞を取ったマイケル・ジアッチーノという豪華メンバーで作られました。

作中には哺乳類しか出てきませんが、「鳥類や爬虫類なども暮らしている星でたまたま暮らしていない大陸の話だった」と脚本のジャレドは話しています。

映画『ズートピア』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

インサイド・ヘッド』は、『Disney+』で観ることができます。

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日常世界

草食動物と肉食動物が共存する世界。将来の夢が警察官の子うさぎのジュディ。何にでもなれる場所と言われる大都市ズートピアに憧れている。

冒険への誘い

大人になったジュディ。警察学校を卒業し、警察官になる。配属先はズートピアだ。

冒険の拒否/賢者との出会い

ズートピアでは複数の行方不明事件が起きている。が、新人のジュディは駐車違反を命じられる。

想像と違う仕事、そして狡猾なきつねのワイルドにも騙されてしまい、落ち込むジュディ。

戸口の通過

行方不明のカワウソ捜索をすることになるジュディ。48時間で見つけなければ警察官はクビだ。

試練、仲間、敵

目撃情報の写真に映るワイルドに気づくジュディ。
ワイルドをうまくはめ、捜索に協力させる。

最も危険な場所への接近

カワウソと親しかったマフィアのボス・ビッグの協力を得るジュディ。カワウソは凶暴化し襲ってきたと話す。

最大の試練

カワウソの最後の目撃者のジャガーと会うジュディたち。しかしジャガーは凶暴化し、姿を消してしまう。捜索はうまくいかず、クビになりかけるジュディ。

報酬

ワイルドが言葉巧みにジュディを助け、再び捜索を始める2人。

ジャガーが連れていかれた研究所を突き止め、カワウソら行方不明者を全員見つける。研究所にいたライオンハート市長を逮捕するジュディ。

帰路

肉食動物の凶暴化が発覚し、ズートピアは草食動物と肉食動物の対立が起きてしまう。

ワイルドも内心肉食動物を信じきれていないジュディに失望し、去っていく。

自分のせいでズートピアを壊してしまったと話し、警察官を辞めるジュディ。

復活

田舎に戻ったジュディ。凶暴化の原因となる花の存在を知り、ズートピアに戻る。

ワイルドに謝り、再びタッグを組む2人。

凶暴化の証拠を見つけ、新市長が凶暴化の黒幕と暴き、逮捕するジュディたち。

宝を持って帰還

ワイルドも警察官となり、ジュディと共に仕事をする。

映画『ズートピア』のテーマ

ズートピアは何にでもなれる場所。
しかしそんなズートピアで肉食動物と草食動物の対立が起き、信頼関係が崩れてしまいます。

肉食動物と草食動物の対立は、現実世界でも起きている人種差別を表しています。

それに対する答えをジュディは示しています。

対立する相手のことを考える。まずは自分から

差別の問題は相手ではなく、自分の心の中にあるということです。

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映画『ズートピア』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
幼少期のジュディが肉食動物と草食動物の歴史を扱った演劇を披露している。

演劇を観客に披露することで、同時に映画の観客にも世界観を説明しています。宇宙飛行士や保険会社と税金、警察官などでこの世界の文化レベルも表しています。

そして最後に観客に最も覚えて欲しいジュディの夢が警察官であること、ズートピアと「誰でも何にでもなれる」というキーワードを示します。

続いてジュディの両親が警察官を諦めさせるように説得するシーン。

うさぎの警察官は今までいないというハードルの高さを説明。

両親はジュディのことをとても愛していますが、ジュディの警察官の夢には反対することでジュディには味方になる人がいない。

主人公のジュディをより困難な立場にさせることでさらにハードルを上げる。だからこそ、それを乗り越えるためにどうするか、と今後の物語が面白くなっていくようになっています。

シーンの終わりに不審なギデオングレイに気付き、次のシーンへと繋がっていきます。

ギデオングレイに注意するジュディ。

のちに登場するワイルドと同じキツネとのトラウマを提示します。

警察官学校に入ったジュディは厳しい訓練を努力し乗り越える。両親や多くの兄弟達に見送られてズートピアに向かうジュディ。愛されているキャラクターはもちろん観客は応援したくなりますね。

ズートピアへの移動。移動シーンは本来無駄ですが、この後登場するズートピアのさまざまな地区の説明・さまざまな動物達の日常・主題歌で楽しむ時間にしています。

ズートピアでの初仕事でワイルドと出会うジュディ。ジュディも頭のいいキャラクターですが、ジュディにはない狡猾さ・ずる賢さ・話術・現実的な思想をもった肉食動物。しっかりとバディものの王道であるジュディと真逆のキャラクターです。

そのキャラクターを一発で説明できるアイスキャンディの詐欺は最高ですね。

始まってから33分のところで、ジュディが行方不明になったカワウソを探すことになる。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

ワイルドを強制的に協力させるジュディ。
重要アイテムの録音機付きにんじんペンの見せ方も最高です。観客に機能をしっかりと印象付け、そしてこのやりとり自体が面白いのでのちの伏線とは思いません。

さまざまな特徴を持った個性的なキャラクターも楽しみの一つ。

ナマケモノのフラッシュのシーンは特に好きです。

ミスタービッグは言わずもがな「ゴッド・ファーザー」のオマージュですね。娘の結婚式まで一緒なところも面白いです。

ワイルドが過去を話すシーン。自分の秘密・暗い過去をさらけ出すシーンでは夜の暗闇がより雰囲気を醸し出します。そして夜明けとともに再び捜索が始まります。

物語のおよそ3分の2、69分で行方不明者を全員見つけ、犯人と思しきライオンハート市長を逮捕。しかしこれは見せかけの勝利です。

ジュディが警察官を辞める。これが第二ターニングポイントです。

二幕に入ってワイルドと相棒になり、終わりにワイルドと別れる。サブストーリーもとても綺麗なプロットになっています。

第三幕

ワイルドに謝るシーン。
トンネルを使ってジュディは影の中、ワイルドは動いていないのに影の中から日が当たる場所へと不自然に変化しています。

そこまでしてでも明暗を使ってわかりやすく表したいということですね。

そして職業には制服がつきもの。

制服を着ていない時のジュディは本性でもあり、このシーンのようにその時こそがジュディの本当の意味での変化を表す時間です。

変化し、成長して改めて制服を着て仕事に向かいます。

衣装もとても重要なモチーフですね。

羊のダグもおそらく『ブレイキング・バッド』のオマージュだと思います。

最後に列車を使ったアクション。
序盤に泥棒、中盤にジャガーとの対決、終盤にこれとバランスよくアクションシーンを散りばめています。

クライマックス。録音型にんじんペンと、オープニングの演劇とリンクする凶暴化の演技。
とても綺麗ですね。

ラストシーン。
警察官として本当の意味で認められたジュディの演説。現実を知った上で、理想へ向かうジュディ。

警察官になったワイルドと、最初の交通整理の小さな車から大きなパトカーへ。フラッシュのオチまでつけて最後まで面白く仕上げています。

さいごに

さまざまなところでシーンとシーンが関連してあったり、たくさんの反復ゼリフや細かいユーモアも盛りだくさんと、無駄が全くない綿密に練り込まれた映画でした!

次回もディズニープラスで配信中の『リメンバー・ミー』を研究します!

お家映画をもっと楽しくしたい人は、ぜひコチラの記事も読んでみてください。

ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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