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映画『ユー・ガット・メール』の解説(ネタバレ有)この世で1番嫌いな人が、1番好きな人だったら?

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第40回の movie labo は『ユー・ガット・メール』。

ユー・ガット・メール画像引用元:ⓒ Warner Bros.

1998年公開のロマンティックコメディ。
監督ノーラ・エフロン、脚本ノーラ・エフロン、デリア・エフロン。119分。

脚本・監督のノーラ・エフロン、主演のトム・ハンクスとメグ・ライアンは1993年公開の『めぐり逢えたら』と同じ組み合わせです。
1940年に製作されたエルンスト・ルビッチ監督の『街角 桃色の店』のリメイク作品。

ストーリーは似たものですが、文通から現代のメールに、雑貨屋から本屋など、様々な点が変更されてより物語として強化されている印象があります。

映画『ユー・ガット・メール』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

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日常世界

ニューヨーク。
老舗の本屋を営むキャスリーン。ディスカウントの本屋を営む一族の息子・ジョー。それぞれ恋人(フランク・パトリシア)と一緒に住んでいる。2人は会ったことがなく顔も名前も知らないが、心を許し合う良きメール友達である。

冒険への誘い

ジョーがキャスリーンの本屋の近くに出来る新しい大型書店の準備をしている。が、頭の中はメル友のことでいっぱいだ。
キャスリーンもフランクよりもメル友に惹かれ、ジョーはパトリシアと結婚するつもりはない。

賢者との出会い

メールでやりとりをしているキャスリーンとジョー。

冒険の拒否

ジョーが幼い兄弟を連れてキャスリーンの店に入る。一族の苗字を隠して話すジョー。

戸口の通過

ジョーの本屋が開店する。売り上げが落ちるも前向きなキャスリーン。

試練、仲間、敵

パーティー会場でジョーと再会し、本屋の一族と知るキャスリーン。
ジョーは弁が立ち嫌味なことばかり言ってキャスリーンをけなす。言い返せない自分が悔しいとメル友に相談するキャスリーン。ジョーは戦えとアドバイスをする。
ジョーから会いたいと伝えられるも、困惑するキャスリーン。

最も危険な場所への接近

キャスリーンの恋人・に店のことを記事に書いてもらい、テレビなどに取材をされるキャスリーン。
ジョーの店の前ではデモも起きる。

最大の試練

しかし売り上げが上がらずショックを受けるキャスリーン。
ジョーがメル友との待ち合わせ場所に向かい、メル友がキャスリーンと知る。
キャスリーンと会うジョー。メル友と気づかずジョーを罵るキャスリーン。ショックを受け、帰るジョー。

報酬

ジョーはキャスリーンのことを忘れようとする。
キャスリーンは罵ったことを後悔している、待ち合わせに来なかった理由が知りたいとメールをする。
ジョーは自分のアドバイスのせいだと謝るが、再び会うことにはならない。

帰路

キャスリーンは店を閉めることを決める。
フランクから別れ話をされ、私も愛がないと円満に別れる。ジョーもパトリシアと別れる。

復活

父親の言葉で自分の本心に気づくジョー。
キャスリーンと再会し、メル友の相談を受けるふりをして自分をアピールするジョー。メル友と再会する約束をするキャスリーン。
店を閉店に追い込んだことを謝り、告白するジョー。
しかしキャスリーンは待ち合わせ場所に向かう。

宝を持って帰還

待ち合わせ場所に現れたジョー。
キャスリーンはメル友がジョーだと気づく。メル友がジョーだと願っていたキャスリーン。2人はキスをする。

映画『ユー・ガット・メール』のテーマ

映画の序盤にある「時々人生を考える」というセリフから始まる、キャスリーンがパソコンに向かうシーン。

その前のシーンでは「子どもに本を売ることに意味があるのか」と考え、これまで母から譲り受けた本屋を必死に営んできた自分の人生に疑問を持ち始めました。

映画でよく描かれる

中年の危機

というジャンルのテーマです。

「間違った人生ではない気がするけど、これでいいのか?」というクエスチョンです。
ジョーは仕事面は順調なので、本当に愛する人を得ようとするというテーマ。
キャスリーンは恋愛と仕事を通じて自分の人生を見つめなおします。

映画『ユー・ガット・メール』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
パソコン画面からバーチャルなニューヨーク、軽やかな音楽とともにパソコンのキーボードの音。そしてキャスリーンの部屋へと繋がっていきます。

恋人・フランクの難しい会話から始まり、フランクの出勤を確認するとパソコンを開くキャスリーン。タイトルの「ユー・ガット・メール」をしっかりと聞かせ、メールを読み上げる声とともにジョーの生活へ。

ジョーも恋人のパトリシアの出勤を確認するとパソコンを開く。もう一度「ユー・ガット・メール」。それぞれ出勤する二人。

パソコンのメールがモチーフなのでオープニングはパソコン画面から始まり、舞台のニューヨークも工夫をして見せています。

音楽もこの映画のトーンがわかりますね。自然と緊張感が抜けてゆったりと観れます。

フランクがややこしい性格の持ち主でパソコン嫌いなことが一発でわかるセリフで良いですね。

そんなフランクに絶対に見つからないように念入りにチェックするキャスリーン。周囲に秘密を持っている主人公は共感を得ることが出来ます。ラストの伏線の「ショップガール」もハッキリと見せています。映画の中で文字を観客に読ませることは難しいのですが、これくらいの単語なら問題ないですね。

メールを読み上げる声とともに内容の犬・ブルンクリーと共にジョーが登場。

ジョーがメールを書いたと説明しているわけではないのですが、ジョーがメールを書いたとわかってしまうのが人間の不思議なところですね。

観客は要素と要素を自然と結びつけて考えてしまいます。

ジョーも同じように秘密を持っており、キャスリーンはメールが待ち遠しいという文面。

この二人の恋愛映画で、二人とも恋人と一緒にニューヨークに住んでいて、とても親しいメル友で、でも顔は知らない。恋愛のストーリーにおいて説明すべきことをオープニングだけで鮮やかに説明しています。

出勤する二人。
開店する店。内的なストーリーはキャスリーンとジョーの恋愛。外的なストーリーは本屋の生き残りなので、シャッターが開くこともストーリーに関連した映像ですね。

恋愛面が終わったら、仕事面のシーンが続きます。ジョーは大型チェーン本屋の社員。キャスリーンは小さな子供向けの本屋の店主。店名の「街角の店」は「街角 桃色の店」へのオマージュですね。

仕事場をシーンの舞台にすることで自然と職業を説明し、会話はメル友のことで二人の気持ちを説明しています。

それぞれ別々のシーンにするとそれだけ長くなってしまいますが、合わせることで素早く話が進み面白いシーンが出来上がります。

キャスリーンの店員たちやジョー一族らもワンシーンの中で個性をしっかりと表しています。

大型書店が出来ることに対して店員らはみな不安に思いますが、キャスリーンだけは前向きです。

キャスリーンの態度が示され、大勢の中の反対の意見なのでキャラが目立ちます。

ジョーのメールにあるみんな大好きスタバに対する皮肉な主張も個性的でキャラクターが出ていますね。

続くフランクとキャスリーンのシーン。悩むキャスリーンですが、フランクは話を聞いてくれず、ドジなところもあります。

本屋でもプライベートでも孤立しているキャスリーン。唯一の相談相手はメル友です。

ジョーの継母・ジリアン、子どもの世話係にモーリーンも登場。離婚するモーリーンの「嘘つきと結婚した自分が悪い」というセリフもこの映画のテーマに関わっています。

たった一言ですが適当なセリフではなくしっかりと考えられています。

ついでに後半で使われるジョーがボート持ちであることもあらかじめ説明。

子どもを使ってジョーがフォックス家であることを知らせずにキャスリーンと出会わせます。

ジョーが苗字を隠すのもすでにキャスリーンに惹かれていることを示し、キャスリーンのデイジーが好きというさりげない一言もしっかりと覚えています。

ジョーがクレジットカードを使わないのも苗字を隠すためですね。

フォックス書店の開店。これが第一ターニングポイントです。

すぐ後にキャスリーンがジョーの本名も知ることで、恋愛面でもターニングポイントを迎えます。

第二幕

キャスリーンに苗字がバレたジョー。
ジョーの本心ではないのに言葉で追いつめてしまう、彼の欠点です。

険悪なムードで始まったシーンがフランクとパトリシアがまさかの盛り上がりを見せて二人が気まずく終わる。

その場にいるキャラクターを無駄にせずシーンに抑揚を作っています。

キャスリーンとジョーのメールを使って本心を観客に伝えることが出来るのはとても分かりやすいですね。

さらに会うことまで誘い、物語を進めます。

ジョーとレジ係のやり取り。ジョーの口達者なところは欠点でもありましたが、長所でもあります。

皮肉なことにそれはキャスリーンへの「闘え」というアドバイスにも使われます。

ビジネス面では賢者。しかし人間性に問題あり、ということですね。

カフェでジョーとキャスリーンが会うシーン。

友人にあらかじめ見てもらったり、ジョーの後ろ席に一度移動する、最後は相手に打ちのめされるなどのシーンの展開も「街角 桃色の店」と全く同じです。

ジョーはもしかしたらキャスリーンが気づいて和解するかもしれないと期待して店に入ったと思います。ジョー・フォックス以外の人なら知り合いでもそうなったかもしれません。

しかしジョーはまたも欠点が出てしまい上手くいかず、最後はキャスリーンの言葉に本当に打ちのめされる。キャスリーンもまた、自分のしたかった言い返しが出来たはずなのに、傷つけてしまったと後悔していることが目だけで伝わってきます。

素晴らしいシーンですね。

キャスリーンを最低の女と罵ったジョー。しかしメールで本心を知り、父親との会話で本心に気づかされ、ジョーがキャスリーンに会いに行く。第二ターニングポイントです。

第三幕

ジョーのお見舞いの花束がデイジーなのを見て悔しがるキャスリーン、面白いです。

ジョーはメル友の評価を下げながら、自分の魅力をアピールしていきます。

しかしキャスリーンは待ち合わせの公園へ向かう。

本心ではジョーに惹かれていますが、おそらく母の店を閉店に追い込んだ相手を好きになってはならないと否定していたのでしょう。

閉店は悲しいことでしたが、時間ができ、メル友の言葉もあってキャスリーンは物書きをすることになりました。結果的にジョーはキャスリーンの人生を豊かにしています。

公園で会う二人。ジョーは愛、キャスリーンはさらに自分のやりたいことを出来るようになり、自分の人生を再び歩き始めました。

さいごに

ジョーが敵でもあり、アドバイスをくれる賢者でもある。

ジョーとキャスリーンの二人しかいないのに三角関係になっていることはこの設定ならではですね。

次回もノーラ・エフロン特集第二弾。
U-NEXTで配信中の同じくメグ・ライアン、トム・ハンクス主演の『めぐり逢えたら』を研究します。

お家映画をもっと楽しくしたい人は、ぜひコチラの記事も読んでみてください。

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1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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