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映画『トイ・ストーリー』の解説(ネタバレ有)「おもちゃ」のキャラクターが描いた人の心

トイ・ストーリー

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第13回『movie labo』は『トイ・ストーリー』です。

画像引用元:ⓒ Disney

 

1995年公開のファンタジーアニメ映画。監督ジョン・ラセター。脚本ジョス・ウィードン、アンドリュー・スタントン、ジョエル・コーエン、アレック・ソロウ。81分。

ピクサーとディズニーの共同制作、世界初のフル3DCGで、その年1番の興行収入。脚本はアカデミー賞ノミネートもされました。

本作の着想のきっかけは、横浜にある北原照久が運営する「ブリキのおもちゃ博物館」を、ラセターが訪問したことのようです。

おもちゃが実は動いている。そのアイディアも面白いですが、つまり彼らにも心や感情があり、それらが集まれば社会が生まれるということでもあるのです。

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映画『トイ・ストーリー』のヒーローズ・ジャーニー

それでは今回もヒーローズ・ジャーニーを見ながら研究していきましょう。
「ヒーローズ・ジャーニーって何?」いう方はこちらの記事をどうぞ!!

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日常世界

カウボーイのおもちゃのウッディは持ち主のアンディのお気に入り。
ほかのおもちゃたちと共に毎日楽しく遊んでいる。

来週、アンディ家は引越しの予定だ。

冒険への誘い

アンディが誕生日プレゼントで、スペース・レンジャーのおもちゃ、バズ・ライトイヤーをもらう。

冒険の拒否

トイ・ストーリー画像引用元:ⓒ Disney

バズは最新の機能を持ったクールなおもちゃ。
他のおもちゃは受け入れるが、ウッディは気にくわない。

戸口の通過

アンディはバズが一番のお気に入りになり、面白くないウッディ。

試練、仲間、敵

隣の家にはおもちゃをいじめるシドが住んでいる。

アンディをバズに取られないように考えたウッディの思いつきが悪い方に転がり、アンディはウッディとバズ置いていき、2人は家の外で孤立してしまう。

最も危険な場所への接近

アンディを追いかけるウッディとバズ。

最大の危機

トイ・ストーリー画像引用元:ⓒ Disney

しかしシドに見つかってしまい、シドの家に連れて行かれる。

報酬

バズは自分がおもちゃだと気づき、深く傷ついてしまう。

シドは新たなロケットを手に入れ、翌朝バズを吹き飛ばそうと計画する。

ウッディは逃げ出そうとするが、バズはショックから立ち直れない。そんなバズを説得するウッディ。ウッディはバズが最高なおもちゃだと話し、羨ましいと告白する。

バズは復活し、逃げ出そうとするがシドが目覚め、バズを持っていく。

さらにアンディの家には引越し業者がきた。

帰路

ウッディはシドのおもちゃたちに助けを求め、彼らも協力してくれる。計画は成功し、シドにおもちゃを大切にしよう、ときつく懲らしめる。

復活

トイ・ストーリー画像引用元:ⓒ Disney

アンディが引越し業者と共に出発し、ウッディとバズが追いかける。

宝を持って帰還

トイ・ストーリー画像引用元:ⓒ Disney

アンディの車に追いつき、乗り込む。
クリスマスが来ても怖がらないおもちゃたち。ウッディとバズの間には強い絆が結ばれている。

映画『トイ・ストーリー』のテーマ

ウッディはアンディの1番のお気に入りであり、他のおもちゃたちのリーダー的存在。

一見すると幸せに見えますが、これは映画の中では停止した世界であり、死の状態と言えます。このままではウッディがこれ以上成長することはありません。

そこにバズという新たな存在が現れ、成長を求められます。

 

新たな環境の変化を
受け入れることが出来るか

 

ウッディはバズを受け入れることが出来るのか、出来ないとどうなってしまうのか。

そして何度も言いますが、これは人間世界でもよく起きる事象なのです。

映画『トイストーリー』をさらに詳しく

「ヒーローズ・ジャーニー」ともう一つ大切な要素「三幕構成」を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
ウッディなどのおもちゃで遊ぶアンディ。ウッディを持ってリビングに向かう。リビングではアンディの誕生日会の準備がされている。

部屋に戻り、ウッディを置いて出ていくアンディ。

動き出すウッディらおもちゃたち。ミーティングを開くウッディ。来週の引っ越しの準備と、誕生日会を知らせる。パニックになるおもちゃたち。

続々とアンディへのプレゼントを持った友達が集まってくる。ウッディはプレゼントの中身を確認するために偵察隊を向かわせる。

アンディのおもちゃの扱い方がそのままおもちゃたちの地位とリンクしています。

アンディがウッディを連れていくことでアンディの部屋が二階、家の構造を見せています。

おもちゃたちにとって二階というだけで困難な場所であり、この後の偵察のために事前に間取りを説明しているのですね。

アンディの遊びと全員参加のミーティングをすることで、それぞれのおもちゃたちの性格、特徴とメンバーを紹介しています。

人にとって誕生日やクリスマスはうれしいものですが、おもちゃたちにとっては不安なイベントになる、という世界観はとても面白いですね。

兵隊の偵察シーン。
人間に動いている姿を見せてはならない。という設定が、彼らを縛るおもちゃの絶対のルールであり、物語に緊張感を与える枷になっています。

家の中でもとても危険なのですが、ウッディはさらに危険な家の外、凶暴な犬のいるシドの家を冒険しなければなりません。

このシーンはその伏線になっています。

そしてバズのプレゼントを焦らし、アンディがウッディをはねのけ、バズを置きます。
アンディのベッドの上というのが、おもちゃの力関係を視覚的に表しています。

下から覗き込むウッディ、仁王立ちのバズという構図も同様ですね。

カウボーイのウッディ、宇宙飛行士のバズ。同じ声を出す機能がついているが、性能の差。さらにバズには翼がついている。
ウッディとバズの対比ををはっきりとさせていますね。

ウッディの変化と同様に、バズも自分がおもちゃだと自覚することも、サブストーリーとして描いています。

スペースレンジャーとしての行動や思考はユーモアになり、自覚する変化はドラマを生みます。

アンディの一番のお気に入りがバズに変わる。これが第一ターニングポイントです。

この変化も、アンディの遊びの敵味方、部屋のポスターやベッドを効果的に使い、視覚的に表しています。小道具の使い方もとてもうまいですね。

映像だけでわかるので、歌を使ってウッディの心情を表すこともできるようになり、とても多くの情報をスムーズに伝えることができています。

第二幕

アンディの名前やバズのヘルメットも、のちのシリーズの伏線になっています。

この時点ではおそらく続編など考えていないと思いますが、ディテールがあることでリアリティが増します。

シドの登場シーン。
シドの声が聞こえた際のおもちゃたちのリアクションで、シドが彼らにとってどういう存在かわかります。

そして最後にシドの裏庭で爆発。
アンディ家とシド家の位置関係や裏庭の位置、シドはおもちゃを爆発させて遊ぶことを、説明・印象付けています。

ゲームセンター付きのピザ屋というのも、自由な発想ですね。

アンディの向かう先とシドに捕まってしまうというストーリーをうまくつなぎ合わせています。

ちょうど40分ほどで、舞台はシドの家に変わります。

シドの家に入るシーン。
冒頭のアンディが連れていくのと同様に、ウッディらの視点から、スカッドは家の中にいる、ハンナという妹がいる、シドの部屋が二階にある、などの情報を、シドの部屋への移動と共に見せています。

ウッディとアンディのおもちゃたちとの会話のシーン。
バズの腕を見せてしまい、みなに失望されます。それまで唯一ウッディを信じていたスインキーにも見捨てられることで、より強調していますね。

しかし同じシーンの中で、シドのおもちゃたちは実は良いおもちゃたちと知ります。新たな仲間の登場です。

最後にシドが現れ、翌朝に爆発させると予告します。

明日はアンディの引っ越し、翌朝はロケット発射。二重の制限時間を設けて、緊張感を高めています。

バズを救うため、シドのおもちゃたちとともにシドを懲らしめる作戦を開始する。
これが第二ターニングポイントです。

第三幕

シドを懲らしめる作戦は成功し、バズを助けるウッディ。
そしてアンディを載せた車、引っ越し業者のトラックを追いかけます。

追いかける過程でアンディのおもちゃたちの誤解を解くことで、残る問題を「ウッディとバズはアンディのもとに戻れるかどうか」だけにしています。

これまでのいろいろな問題を順に解決し最後はシンプルになることで、観客は目の前のアクションに集中することができるのです。

そして無事にアンディのもとに戻ります。

ラストシーン。
ベッドの上に座るウッディとバズ。特別だったベッドの上を二人で並んで座っています。背後の壁にはアンディとバズのポスター、ベッドには二人のクッションが並んでいますね。もうどちらがアンディにとって上か下かは関係ありません。

クリスマスの夜でも、バズは恐れず、ウッディはバズを讃えます。

ウッディは小さなプライドを捨て、他者を敬うことができるようになったのです。プレゼントはまさかの子犬でしたが。

さいごに

81分という短さながら、とても濃厚な物語を描いた脚本でした。

そして無機物のおもちゃと、まるで生きているように見えるおもちゃの表現が、一作目からとても魅力的に描かれていて凄いですね。

次回は『トイストーリー2』を研究します。

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– fin –

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akira
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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