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映画『トイ・ストーリー3』の解説(ネタバレ有)絶対に諦めない彼らを諦めさせた物語。そして完璧な別れ

トイ・ストーリー3

トイ・ストーリー3画像引用元:ⓒ Disney

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第15回『movie labo』は『トイ・ストーリー3』です。

2010年公開の長編アニメ映画。
監督リー・アンクリッチ、脚本マイケル・アーント。103分。

マイケルは『リトル・ミス・サンシャイン』でアカデミー脚本賞を獲り、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でも脚本を担当しました。

総製作期間は4年であり、その3分の2が脚本・ストーリー作りに充てられています。
その期間に出てきた「もしも玩具が刑務所に入ったら」というアイディアを発展させたようです。

シリーズ3作目になると、シリーズの特徴がわかってきます。

映画『トイ・ストーリー3』のヒーローズ・ジャーニー

それでは今回もヒーローズ・ジャーニーを見ながら解説していきます。
「ヒーローズ・ジャーニーって何?」いう方はこちらの記事をどうぞ。

ヒーローズ・ジャーニー
『ヒーローズ・ジャーニー』とは。映画研究の準備 こんにちは。 akira(@akira57746363)です。 今回の『movie labo』は前回に引き続き導入編です。 ...

日常世界

アンディは17歳になり、もうウッディたちと遊ぶことはなくなり、ほかのおもちゃたちも処分してしまった。
大学進学のため一人暮らしするアンディは、ウッディだけを持っていき、バズたちは屋根裏にしまおうと思っていた。

冒険への誘い

バズたちは屋根裏にしまうはずが、ママの勘違いバズたちはゴミ捨て場に置かれてしまう。
収集車から逃れるバズたちだが、アンディに捨てられたと深いショックを受けた。

間違いだったと説得するウッディだが、バズたちは保育園に向かうと決める。

冒険の拒否/賢者との出会い

トイ・ストーリー3画像引用元:ⓒ Disney

バズたちを歓迎する保育園のおもちゃたち。
ロッツォが保育園を丁寧に説明し、バズたちの部屋に案内する。
ここでは常に子どもたちがやってきて、捨てられることもない。それでもウッディは「アンディの元に帰らないといけない」と皆を説得する。

戸口の通過

バズたちと意見が分かれ、1人去っていくウッディ。
その途中、ボニーという子どもに拾われてしまう。

試練、仲間、敵

バズたちの案内された部屋は2・3歳児の部屋であり、とても過激な遊び方で困惑するバズたち。
ロッツォに部屋を変えてもらおうと交渉するが、ロッツォは豹変しバズを初期化する。

ジェシーたちはアンディが自分たちを探していると知り、戻らなければならないと気づく。

しかしロッツォはバズを使い、ジェシーたちは囚われる。
誰かがあの子どもたちの相手をしなければならない。ロッツォたちに利用されたのだ。

最も危険な場所への接近

トイ・ストーリー3画像引用元:ⓒ Disney

ボニーの家にいるウッディ。
アンディの家とも近い。

家に帰ろうとするウッディだが、保育園はとても危険な場所だとボニーのおもちゃたちから知らされる。

しかしアンディはもうすぐ出発してしまう。

最大の試練

仲間を救うために保育園に戻ってきたウッディ。
ジェシーたちと再会し、脱出計画を練る。

報酬

計画はうまくいったかに見えたが、最後にロッツォにバレてしまい阻止される。

保育園のおもちゃたちの信用を失ったロッツォはゴミ捨て場に捨てられる。
ウッディも道連れにし、助けようとしたジェシーたちとともにごみ収集車に回収されてしまう。

帰路

トイ・ストーリー3画像引用元:ⓒ Disney

ゴミ焼却場の中、逃げ惑うウッディたち。一度は諦めたが、奇跡的にも助かった。
ロッツォには相応の罰が与えられた。

復活

アンディの部屋に戻るウッディたち。

ウッディは大学行きの箱、バズたちは屋根裏行きの箱に入り、別れを告げる。しかしまだ悩むウッディ。屋根裏行きの箱にメモを貼る。それを読むアンディ。

宝を持って帰還

画像引用元:ⓒ Disney

アンディはボニーに会い、ウッディたちを一人一人紹介し一緒に遊ぶ。

別れを告げ、去っていくアンディ。
おなじく別れを告げるウッディ。
バズたちをボニーのおもちゃに紹介する。

 

『トイ・ストーリー3』のテーマ

ウッディだけが特別な存在でアンディとともに大学に行けますが、バズたちと別れなければなりません。

バズたちは捨てられませんが、屋根裏にしまわれます。
それでいいのかと、最後まで自問自答するウッディ。

さらに言えば、いつまでもアンディのおもちゃでいなければならないのか。

アンディの意志とはいえ、いつ出られるかもわからず、子どもとも遊ばないで屋根裏にいるべきなのか……。

 

おもちゃの幸せとは?

 

「アンディの」おもちゃから、変わる時が来たのです。

『トイ・ストーリー3』をさらに詳しく

「ヒーローズ・ジャーニー」ともう一つ大切な要素「三幕構成」を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
青空をバックに、タイトル。

恒例のアンディがウッディたちと遊ぶシーンから始まり、映像技術の発展もあり一気に観客を引き込ませます。

しかし今回は家庭用のビデオでの映像。現在ではなく遊んでいた過去を表し、現在のアンディへと続いていきます。

シーンを連続させることで変化をわかりやすく伝えており、加えてウッディたちの作戦の最中から始めることで、緊張感の高い始まりをしています。

ここでも恒例のスタッフミーティング、アンディの部屋を使い、おもちゃが減り、アンディが興味を失ったと説明しています。

アンディがおもちゃをどうするかの前に、モリーを使っておもちゃを捨てるということを見せています。

そのうえで、アンディはどうするかを焦らしてみせます。結果的に屋根裏にしまおうとしますが、勘違いという偶然が状況を悪化させていきます。

さらにウッディも巻き込み、保育園に連れていかれます。

冒頭からウッディたちはいつ捨てられてもおかしくない厳しい立場であり、展開するにつれてどんどん状況は悪化し、さらに追い込まれていきます。

その流れから保育園に入り、保育園がとてもいい場所のように印象付けをしています。

バズたちが賛同するなか、ウッディ一人だけが反発する構図。1,2でも同じように、3でもウッディは孤立するストーリーになっています。

バズたちは光の中、ウッディは影の中、という演出で、対比をより強調しています。

ウッディがバズたちと別れ、部屋を去る。これが第一ターニングポイントです。

 

第二幕

保育園のおもちゃたちの裏の顔を知るシーン、脱走するシーンは、夜になっています。

リアリティを考えれば必然的に夜になりそうなものですが、犯罪するのは夜、と連想しやすいのは刷り込まれたイメージなのだと思います。

2ではバズの偽物が現れましたが、3ではバズが初期化され悪役になるというアイディアが使われています。

ロッツォは保育園を案内し、保育園のすばらしさを伝え、ここを勧める賢者のような役割をしていましたが、ここで悪役に逆転します。

話術やウッディの帽子を使った脅しなど、策略家のように描いていますね。

そしてなぜロッツォがそうなったのか。

同じように2ではジェシーの回想がありましたが、3ではロッツォの回想があります。

ロッツォの過去を聞いたうえで、ウッディは仲間を助けに行くか、アンディのもとに帰るかの二択を責められます。

52分。ちょうど映画の半分の時間に、最大の決断をしなければなりません。

保育園脱出計画。
サルが一番の問題と印象付けた後に、実行します。

彼らがどうやって脱出するのか。刑務所から脱獄する映画はたくさんありますが、最大の見どころの一つです。

それぞれのおもちゃの特徴を生かした脱出はとても面白いですね。

しかしそれも徐々にほころびが生じ、ロッツォにばれてしまいます。策略家のロッツォを論破するウッディ。相手の土俵で倒すのはさすがですね。

その結果ロッツォは自分で自分を貶める羽目になってしまいました。
が、そう簡単に引き下がらないのがロッツォ。

ロッツォとともにゴミ収集車に回収される。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

ゴミ焼却場での脱出劇。
最後はみながあきらめ、手を取り合い、覚悟します。セリフなど必要のない、凄いシーンです。

クレーンでの脱出も、以前から出ているエイリアンというクレーンにつながりのあるキャラがなぜいるのか。助けるように工夫することはできますが、そもそもすでに登場していることが不思議でなりません。本当にすごいですね。

アンディのもとに帰りますが、しかしバズたちとは別れなければなりません。

最初から負け戦だったのです。
が、ウッディはここまでの冒険で、新しい答えを見つけます。

アンディはボニーにウッディたちを一人一人紹介して渡し、ともに遊びます。

最近遊んでいなかったアンディですが、その紹介は愛にあふれ、決して忘れていなかったと伝わってきます。

別れるアンディとウッディ。最後は青空。オープニングの青空と同じで、それはアンディの前の家の壁紙です。アンディとの物語は、終わりました。

さいごに

何度観ても感動する。
シリーズの中で一番好きな映画です。

そして夏に『トイ・ストーリー4』が公開されます。

予告を見ると、新しいかわったおもちゃ・フォーキーと、ボーが再び登場します。
フォーキーとともにウッディはここでも孤立したストーリーになりそうですね。
ボーも性格や考えがかなり変わったようですね。もしかしたら悪役になるのかもしれません。

アンディのもとから持ち主が変わったウッディ。
4では「そもそも持ち主が必要なのか?」というテーマのように思えます。

オープニングはボニーの遊びから始まるのかな。
回想はボーの過去が出てくるのかな。
今度のバズはどんなアイディアに使われるのかな。
それとも、まったく別の物話になるのかな。

7月12日公開。
とにかくとても楽しみです!

次回は9月ごろに再開予定です。
ブライアン・デ・パルマ監督の『ミッドナイト・クロス』を研究します。

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– fin –

ABOUT ME
akira
akira
1990年生まれ。SNSとは無縁の人。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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