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映画『トッツィー』の解説(ネタバレ有)ダスティン・ホフマンの演技が光る傑作

トッツィー

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第38回の movie labo は『トッツィー』です。

画像引用元:ⓒ Columbia Pictures Industries, Inc.

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ソニーピクチャーズエンタテインメント

1982年公開のコメディ映画。監督シドニー・ポラック、脚本ラリー・ゲルバート、マレー・シスガル。113分。

この映画は台本作りにかなり苦戦し、脚本家が何人も変わった末、最後にラリー・ゲルバートが何についての映画なのか?に思い至ったようです。

果たしてなんについての映画なのか、見てみましょう。

映画『トッツィー』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
トッツィー』は、『U-NEXT』で無料視聴ができます。

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日常世界

画像引用元:ⓒ Columbia Pictures Industries, Inc.

演技力はあるものの業界から嫌われている役者・マイケル。
オーディションを受けるもののことごとく落選。同居人の脚本家・ジェフと舞台を企画している。

冒険への誘い

友人の役者・サンディのテレビドラマオーディションに付き添うマイケル。サンディは落選。そしてマイケルの狙っていた舞台には別の役者が選ばれていた。

冒険の拒否

舞台の資金のためにエージェントのジョージに仕事をくれと頼むが、嫌われているから仕事がないと言われる。

賢者との出会い/戸口の通過

画像引用元:ⓒ Columbia Pictures Industries, Inc.

マイケルは女装し、ドロシーと名乗ってテレビドラマオーディションに受け、合格する。

試練、仲間、敵

女装を隠しながらドラマに出るマイケル。ジュリーと出会う。サンディにも女装を隠し、誤魔化すために寝てしまう。

最も危険な場所への接近

画像引用元:ⓒ Columbia Pictures Industries, Inc.

翌日の撮影の稽古のため、ジュリーの家を訪れるマイケル。ジュリーはドラマの監督・ロンと付き合っている、シングルマザーで幼い息子がいると知るマイケル。

最大の試練

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サンディとの約束をすっぽかしてしまったマイケル。サンディはドロシーを腰抜けと罵る。

パーティーに出席したマイケルはジュリーを口説こうとするが、酒をかけられてしまう。

報酬

強気な女性を演じ始めたマイケルは、世間から絶大な人気を得る。ジュリーと一緒に実家まで遊びに行く。

帰路

あまりの人気のために契約延長が決まってしまうマイケル。契約上強引なことをすると損害賠償にもなりかねない。

ドロシーに影響されロンと別れたジュリー。別れたものの落ち込むジュリーにキスしようとしてしまうマイケル、ジュリーにレズと勘違いされ、これ以上は付き合わないと話す。

さらに同僚のジョンが迫り、ジュリーの父親にも求婚される。

復活

画像引用元:ⓒ Columbia Pictures Industries, Inc.

トラブルでドラマが生放送となり、マイケルは無理やりながらドラマの話を繋げ、自らの女装を解く。

ジュリーはマイケルを殴り、去っていく。

宝を持って帰還

有名になったマイケル。ジュリーとも仲直りする。

映画『トッツィー』のテーマ

マイケルは当初演技力があるものの仕事では反発して揉め事や議論をし、皆からの評判は最悪な男、女性にも手当たり次第口説いて無神経…でしたが、最後には生まれ変わって別人のようになりました。

それはジュリーと結ばれることではなく、ジュリーに認められるような人になったということです。

そしてマイケルは何をして生まれ変わることができたのか。それが女装です。

女性となったことで
より良い人間になった男

これが本作のテーマでもあり、ダスティン・ホフマンの女装がこの映画の1番の魅力にもなっています。

映画『トッツィー』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
メイク道具やかつらから、顔にメイクをしているマイケル。

続けてサンディに演技指導をしている、オーディションを受けて落ちる、演出家と喧嘩して役を降りる、などのシーンを音楽に乗せて重ねています。

女装がテーマの映画なので、メイクから映画が始まります。

そして演技指導や役者の卵に訴えることで、演技の実力や熱意がある。しかし見た目や身長などの演技とは関係ない理由でオーディションに落ちてしまう。そして納得できないことは反論し、役を勝手に降りてしまう。

などマイケルの現状と能力を提示し、最後は結局大衆食堂で働いている…というところから物語が始まります。

ジェフと帰宅するマイケル。「ただのマイケルになれ」とアドバイスを受けていますが、終盤でジェリーが繰り返し話す「正直」というテーマとリンクしていますね。

「正直」になることでゴールへと導かれる物語です。

マイケルの誕生日パーティーのシーン。人気があるのかと思いきや、集まった人々は友人たちではないとわかってきます。

そしてマイケルの欠点が描かれています。手当たり次第に女性を口説く、会話も適当、すぐ熱くなり語ってしまう、赤ちゃんの相手は全くしない、二年間失業中、などです。

サブキャラのジェフの独特な演説やサンディの食べ物をこっそり持ち帰るなどキャラの個性もしっかりと描いています。女性の役で女性のサンディが泣くのも面白いですね。

サンディの稽古相手をしたりオーディションについていくのも、マイケルの役者魂の高さや優しさを感じます。そして女性役の演技の上手さもここで示しています。

最後に用ができたと言い、ジョージと対峙するシーンへと繋がります。

トマトの役ですら全力で向かい、野菜の役なら誰にも負けないと叫ぶマイケルのキャラクターは本当に面白いです。

ちなみにジョージはシドニー・ポラック監督本人です。

シーンが終わった次の瞬間、女装しドロシーになったマイケルが出てきます。

メイクするシーンなどしなくてもわかるので省略していますね。

一度はロンにやはり見た目で断られるものの、見事役を勝ち取るマイケル。

これが第一ターニングポイントです。

第二幕

女装という違う世界に入った途端に、重要なキャラクターであるジュリーと出会います。

女装の秘密を知る人間がジョージとジェフだけです。

誰もわからないと女装で起きるトラブルやツッコみを表しづらいので、観客と同じ立場のキャラクターを作っています。

また、彼らのように価値観の変わらないキャラクターがそばにいるからこそ、マイケルの価値観の変化がわかりやすく説明されます。

そして女装をごまかすためにサンディと寝てしまうことで、物語がより複雑になっていきます。

他にもエイプリルの裸を見ないようにしたり、ジョンとのキスシーンを避けようとしたり。

女装の秘密は時限爆弾。隠すために問題は徐々に深刻になっていき、隠せば隠すほど秘密がバレたときのリスクが大きくなっていきます。

最初はもちろんそれと気づかずにいいことばかり起きるのですが。

家でジェフと話すシーン。

あれだけネクタイのシーンでもめたマイケルが、ドロシーとジュリーのことしか考えなくなってしまっています。

そして映画の半分の頃、サンディの愚痴を聞いたマイケルは強気なドロシーを演じ、大人気になります。

女装は大成功のように思えますが、ここから問題が露呈し始めます。

ドロシーで人気になったとしてもマイケル自体は変わっておらず、ジュリーを口説いても酒をかけられる。

ドロシーを慕うジュリーにロンは苛立つ。

ジュリーの父・レスに狙われ始める。

人気のあまり契約の延長。

ジュリーに想いは伝えられず、勘違いされてしまう。

さらにジョンまで襲ってきて、サンディとも喧嘩。

しかしこれらの問題に直面することで女性の苦しみや人の心を理解し、小さい子どもの子守りまで経験することでマイケルは成長していきます。

ジョンの自分勝手な振る舞いはまさに映画が始まる頃のマイケルと重なります。

サンディの絶叫と食べ物は逃さないところは最高ですね。

ジュリーとの関係が終わる。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

生放送という始まったら誰も止められない完璧なシチュエーションで、女装を告白するマイケル。

女性たちは驚き、ジェフ、ロン、ジョンのそれぞれの台詞はさすがです。

ラストシーン。ジュリーと話すマイケル。

U-NEXTの字幕では「君とつきあった僕は、君とつきあう前の僕よりいい」となっていますが、別の翻訳にすると「女性として君と一緒にいたとき、これまで男として女性と一緒にいたどんなときよりも、僕はいい人間だった」となり、より分かりやすいですね。

女性を経験して変化したマイケル、そして映画の全てが込められています。

ジュリーと並んで歩くマイケル。それは恋人なのか親友なのか。どちらにせよかけがえのない大切な人と結ばれました。

さいごに

女装という面白いつかみだけでなく全てがテーマに沿って作られたストーリー、細やかなユーモア、そして何よりダスティン・ホフマンの演技が素晴らしい映画でした。

エンドロールで「マイケル・ドーシー ダスティン・ホフマン」「ドロシー・マイケルズ ダスティン・ホフマン」となっているのも最高です。 

次回はU-NEXTで配信中、シドニー・ルメット監督、アル・パチーノ主演の『狼たちの午後』を研究します。

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1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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