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映画『翔んで埼玉』の解説(ネタバレ有)実はユージュアルサスペクツ?作り話で描かれる埼玉の誇り

翔んで埼玉

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第30回の movie labo は『翔んで埼玉』です。

翔んで埼玉画像引用元:ⓒ 『飛んで埼玉』製作委員会

2019年公開のコメディ映画。
監督武内英樹、脚本徳永友一。106分。
原作は1982年に連載された魔夜峰央の『翔んで埼玉』。

第43回日本アカデミー賞では、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀編集賞を受賞。

原作は長く注目されていませんでしたが、2015年にネット上でその衝撃的な内容が話題になり、復刊。
そして大ヒット。
魔夜峰央本人も驚いており、「なぜこの作品が売れているのかわからないが、この作品をきっかけに他の作品も注目されればいい」と語っています。

ちなみに、僕は千葉県柏市出身です。ヌーがいたとは知りませんでした。

映画『翔んで埼玉』のヒーローズジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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という方はこちらの記事をどうぞ!!
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この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

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日常世界

翔んで埼玉画像引用元:ⓒ 『飛んで埼玉』製作委員会

埼玉・熊谷。
娘・愛海の結納のため、菅原一家は東京へ向かう。
愛海は憧れの東京生活を喜んでいる。

その道中、埼玉にまつわる都市伝説のラジオを聞く。

かつて埼玉は東京には通行手形がなければ入れならず、常に監視されていた。

冒険への誘い

翔んで埼玉画像引用元:ⓒ 『飛んで埼玉』製作委員会

麻実麗がアメリカから東京へ転校してくる。
生徒会会長であり東京都知事壇ノ浦建造の息子・壇ノ浦百美と出会う。

冒険の拒否

しかし埼玉を差別する百美を侮辱する麗。
埼玉を侮辱する埼玉県民にも苛立ちを覚える麗。

賢者との出会い

翔んで埼玉画像引用元:ⓒ 『飛んで埼玉』製作委員会

麗の父・宗十郎からのメッセージ。
麗は埼玉県民であり、東京都知事になって埼玉を解放することが彼の使命である。

戸口の通過

しかし埼玉県民とバレてしまう麗。

試練、仲間、敵

麗に好意を持った百美と共に、千葉・茨城を経由して埼玉へ向かう麗。

最も危険な場所への接近

翔んで埼玉画像引用元:ⓒ 『飛んで埼玉』製作委員会

しかし長年対立関係にあった千葉解放戦線に捕まってしまう麗たち。
千葉解放戦線を率いる阿久津は建造の家に執事として潜入し賄賂を渡して、通行手形の撤廃を目指していた。百美を引き渡して計画を達成しようとする阿久津。

最大の試練

百美が連れて行かれそうになったとき、埼玉デュークが助けに来る。

報酬

埼玉に着いた麗たち。
埼玉デュークから歴代の東京都知事は闇通行手形を発行し、金を金塊に変えていると教えてもらう。
ショックを受ける百美だが、金塊を見つけ父に迫ると決意する百美。

帰路

しかし百美は病気にかかり、東京へ連れて行く埼玉デューク。
同時に千葉解放戦線が戦争の準備をしているという情報を聞く麗。

東京は百美に任せ、千葉と闘うと団結する埼玉解放戦線。
病気が治り、群馬に手掛かりがあると知る百美。
千葉と埼玉の闘いが始まる。

復活

翔んで埼玉画像引用元:ⓒ 『飛んで埼玉』製作委員会

金塊を見つけた百美、建造に迫るが相手にされない。
と、埼玉と千葉が都庁へ進撃してくる。
注目の集まった都庁で事実を公表する百美の作戦であった。
やめてくれ」と懇願する建造だが、百美は真実を書いたビラを撒く。

宝を持って帰還

翔んで埼玉画像引用元:ⓒ 『飛んで埼玉』製作委員会

ラジオを聞いていた菅原夫婦は感動する。
愛海の結婚相手も聞いており、埼玉に家を買うと宣言する。失神する愛海。
ラジオをしていたのは百美と麗。
すでに2人は「日本埼玉化計画」は終え、「世界埼玉化計画」へと進んでいく。

映画『翔んで埼玉』のテーマ

かなりキツく埼玉(他県にも)がディスられますが、それらの裏には愛ゆえの知識があります。
周りからの声で落ち込みますが、実際に内側の世界にいると案外良いところもあります。
一方東京は、埼玉をディスるだけでなく都内の中でもランク付けしてカーストを作っています。

 

みんな違ってみんな良い 』

 

どんなところにだって良いところはあります。
それは県でも都でも人でも同じです。
夜空の星のようにみんなが輝く世界を麗は目指しています。

 

最後は全部埼玉にしようとしていますが、そこはコメディなので……。

 

映画『翔んで埼玉』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
クラシックの音楽・バレエと共に、原作者の魔夜峰央本人が映り、お断りが語られる。

めちゃくちゃな世界観を提示し、ユーモアのあるつかみになっています。

そして舞台となる東京・埼玉のなりたちの説明。

菅原家が東京へ向かう。父の名前は好海、娘は愛海になっています。海なし県の埼玉さらではの名前ですね。

車内の会話で、好海は愛海に「埼玉に対するプライドがないのか」と忠告します。この映画のテーマですね。

都市伝説として語られる物語を現在の菅原家が聞く、という形で映画が進んでいきます。
メインはラジオでの物語でありながら、最終的に現在に繋がり、現在でラストを迎えます。

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どちらもとても信じられないような話を、映画の中の相手に聞かせています。

埼玉での話はかなりめちゃくちゃな世界観なのですが、菅原家が都市伝説として聞く、という体で見ていくと、めちゃくちゃなところやユーモアもすんなり受け入れられます。
聞きながら愛海も観客の思いを代弁するようにツッコんでいくので、強烈なユーモアもずっと見続けていられます。

ユージュアル・サスぺクツ』はラストのために語る形にしたのかな、と思いますが、『翔んで埼玉』はツッコむ人を作りたかったのかなと思います。
もし現在のパートが無かったら映画の世界観の中ではツッコむ人がおらず、どこかで飽きてしまったり、心が離れてしまうはずです。

コメディーは観客がボケの映画に対して上の立場にいる、ツッコめる立場にいる。というのが大事です。だから笑えるのです。

麻実麗が転校し、学校を案内しながら格差を観客にも説明しています。

壇之浦百美と麻美麗、百美とZ組、Z組と麗。それぞれをぶつけることでそれぞれのキャラクターの世界観がわかります。

続いて百美の家、麗の家でのシーンになり、家庭の事情、麗と百美の目的が説明されます。
これで説明するべきことが終わり、一度原題に戻ります。

合間合間に置かれた現在シーンで、観客は一呼吸落ち着くことができます。

現在では埼玉の話に新しい情報を加えることが出来ない代わりに、違ったタイプのユーモアを使っていますね。

麗と百美は二人が主人公であり、麗は通行手形の撤廃という外的なストーリー、百美が価値観の変化という内的なストーリーを担当しています。

麗が埼玉県民となり、追われる立場になる。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

麗と百美の冒険の幕、千葉と埼玉が舞台になります。
前半は埼玉に向かう旅、後半は埼玉の団結です。

列車の中で、百美に教える形で千葉と埼玉の対立が説明されます。
千葉の拷問、えぐいですね……。
現在パートでも合わせるように埼玉の父、千葉の母で喧嘩が起きます。

埼玉デュークに助けてもらい、麗と百美の新しい目的が設定され、それぞれ別行動になります。
主人公が二人の場合、それぞれ別れて一人の闘いになる展開は必須ですね。

麗が千葉解放戦線と闘う決意をする。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

千葉と埼玉の闘い方も面白いですね~。
「市原悦子……強い」素晴らしいです。

それぞれ別れていた麗と百美が合流し、東京へと舞台は再び戻り、真実が世間に暴かれます。
百美たちの作戦をあえて観客に見せないことで、このシークエンスだけは映画・キャラクターの立場が観客より上になっています。
コメディーではなく闘いのシークエンスなので問題ありません。

現在に戻り、話を聞いていた菅原夫婦、そして真海の結婚相手は埼玉の誇りを取り戻し、埼玉に家を建てると宣言。都市伝説が現在に変化をもたらしました。
そしてラジオは百美たちの仕業であり、「世界埼玉化計画」について語られ、終わります。

さいごに

キャスティングも素晴らしく、ディスリも強烈でありながら、細かい知識に埼玉への深い愛を感じる、そんな映画でした。

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– fin –

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1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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