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映画『ウェディング・バンケット』の解説(ネタバレ有)秘密と嘘がドラマを作る。

the wedding banquet

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第68回movie laboは『ウエディング・バンケット』。

the wedding banquet

1993年公開の台湾・アメリカの合作映画。監督アン・リー、脚本フウ・コウエン、ジェームズ・シェイマス、アン・リー。106分。

第43回ベルリン国際映画祭にて最高賞の金熊賞を受賞。ゴールデングローブ賞外国語映画賞と第66回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされました。

アン・リー監督の『父親三部作』の2作目で、他に『推手』、『恋人たちの食卓』があります。

映画『ウェディング・バンケット』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

日常世界

アメリカ。
恋人のサイモンと生活している同性愛者のウェイトン。ウェイウェイは不法移民の画家で、仕事も金もない。ウェイトンに好意を寄せているウェイウェイ。

冒険への誘い

母から結婚相談所の入会を勧められるウェイトン。両親は孫が見たくてたまらないようだ。

冒険の拒否/賢者との出会い

ウェイウェイはグリーンカードのため、ウェイトンは両親を満足させるために偽装結婚をする。

戸口の通過

結婚式のために両親が渡米してくる。

試練、仲間、敵

ウェイウェイを気に入る両親だが、簡易的な結婚式に激怒する父。結婚式を行うも、母も悲しんで泣いてしまう。

最も危険な場所への接近

父の知り合いが盛大に披露宴を行うと提案。渋々受け入れるウェイトン。

最大の試練

盛大な披露宴が行われる。

報酬

満足する両親。その夜、ウェイトンとウェイウェイはSEXをしてしまう。

帰路

父が体調を崩し予定より長く滞在することになり、フラストレーションが溜まるサイモン。さらにウェイウェイの妊娠が発覚し、3人は大喧嘩をする。

復活

母に同性愛者であることを告白するウェイトン。父はウェイトンとサイモンの関係に気づいており、ウェイトンらには内緒でサイモンに息子を託していた。ウェイウェイは子を産むことを決意し、サイモンも父親になることを喜んで受け入れる。

宝を持って帰還

帰国する両親。ウェイトンらは3人で生きていく。

映画『ウェディング・バンケット』のテーマ

同性愛や偽装結婚とキャッチーなアイディアが組み込まれていますが、テーマはシンプル。

大切な人との絆の崩壊と再生

これがテーマです。

登場人物に悪い人はおらず、皆がそれぞれの幸せを願っているからこその秘密や嘘が起きてしまいます。

たとえそれらが全てオープンになっても、お互いの幸せを願うばかりです。

映画『ウェディング・バンケット』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
母からのテープを聞きながらジムで運動しているウェイトン。

親子の物語なので母から息子へのメッセージ。定年した父・体調が悪い、両親の目的である結婚願望の説明。この映画の場合両親が悪役の立場になっています。

続いて舞台がアメリカ、ウェイトンとサイモンの生活・関係を説明。さらにウェイトンの仕事シーンを見せると同時にウェイウェイも登場、仕事と状況の説明をします。ここまで映画が始まっておよそ10分。物語に必要な要素を全て説明しています。

第一幕のウェイトンの目的は両親を静かにさせる。偽装結婚で目的達成かと思いきや、状況はさらに悪化してしまいます。ウェイウェイにもシンプルなメリットがあって話が早いですね。本心ではなく利益があることが第一幕の時点では重要です。

ウェイトンの両親がやってくる。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

ウェイウェイの料理下手を隠すなど、ここから偽装結婚のユーモアがふんだんに盛り込まれます。

ウェイウェイが得意な美術を生かし父に好印象を与える一方、サイモンは言葉が通じず会話に入ることができない。さらにサイモンの料理もウェイウェイの手柄。ウェイウェイとサイモンの対比になっています。

続くウェイウェイが母からの花嫁衣装に着替えるシーンでも、プレゼントを贈ったサイモンを置いて奥の部屋に移動し孤立してしまうサイモン。立ち位置で彼の状況を表現しています。奥行きを使ったキャラの動きが良いですね。サイモンのプレゼントも後々父にしっかりと感謝されます。

偽装結婚もなんとかなりそうかと思いきや、今度は結婚式問題が浮上。さらに大事となる披露宴へと発展してしまいます。小さな嘘が雪だるま式に大事になっていくコメディの王道展開ですね。

中国式の披露宴はさまざまな儀式やゲームなど見ているだけで面白いです。会場の雰囲気もうまくアン・リー監督が作り上げて見せています。

披露宴は大成功……そしてわかってはいたことですがやはりウェイトンとウェイウェイは一線を超えてしまいます。

イチャイチャしようとしたサイモンとウェイトン。もう両親はいないのかと思いきや……と一捻り工夫を入れています。

ウェイウェイの妊娠が発覚し3人が大喧嘩する。これが第二ターニングポイントです。

サイモンが庭に出入りしながらの喧嘩も動きがあって面白いですね。言葉が通じない両親も滑稽な様子で使っているのかと思いきや伏線になっていて素晴らしいです。

第三幕

母に同性愛者だと告白するウェイトン。この後も母は最後まで同性愛を理解することができない・変化しないキャラとして描かれ、逆に全てを理解して受け入れる父との対比になっています。

映画はキャラの変化を表すものですが、変化しないキャラをおくことでより変化の具合を引き立てることができますね。

父がサイモンに英語で話しかけるシーン。ずっと伏線を張ってこの秘密の暴露のアイディアは凄いですね。皆が父を想い、父もその優しさを受け止めつつも誰にも知らされずに父としてなすべきことをします。サイモンと父のウォーキングシーンも二人で行動する仲というこのシーンのための伏線です。

ラストシーン。3人で子供を育てると決めたウェイトン。

去っていく両親、普通はそのまま歩いて終わりに思えますが、父の体をチェックする様子まで映すアン・リー監督の感性・丁寧さも素晴らしいです。

さいごに

大人らしい余裕のあるユーモアと、大切な人々への愛を描いた素晴らしい映画でした。

次回は『Primeビデオ』『U-NEXT』で配信中、ジョン・フォード監督の『わが谷は緑なりき』を研究します。

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1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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