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映画『ユージュアル・サスペクツ』の解説(ネタバレ有)映画の構成自体がカイザーソゼのプライド。全ての回想はラストのために

ユージュアル・サスペクツ

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第20回の movie labo は『ユージュアル・サスペクツ』です。

ユージュアル・サスペクツ画像引用元:ⓒ アスミック・エース

1995年公開のサスペンス映画。監督ブライアン・シンガー。脚本クリストファー・マッカリー。

クリストファーは本作でアカデミー脚本賞、ケヴィン・スペイシーはアカデミー助演男優賞を受賞しました。

回想が多く、最後のどんでん返しが有名な映画。

回想シーンは間違えると現在のシーンの緊張感を壊してしまう危険性があります。
回想シーン自体も面白く、そして回想シーンを見る必要があるようにしなければなりません。

本作の場合、「過去に何があったのか?カイザーとは誰なのか?」というミステリーを使い、そしてそれ自体が壮大なフリにもなっています。

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映画『ユージュアル・サスペクツ』のヒーローズ・ジャーニー

まずはヒーローズ・ジャーニーを見てみましょう。
「ヒーローズ・ジャーニーって何?」いう方はこちらの記事をどうぞ!!
『ヒーローズジャーニー』とは。映画研究の準備

ヒーローズ・ジャーニー
『ヒーローズジャーニー』とは。映画研究の準備こんにちは。 akira(@akira_movielabo)です。 今回の『movie labo』は、前回に引き続き導入編です。...

日常世界

サンペドロの港で大量の死体が発見される。銃撃戦があり、ほとんどの死体が燃えており判別がつかない。

生存者のキントが警察に尋問されている。全ての発端は6週間前と語り始めるキント。

冒険への誘い

ユージュアル・サスペクツ画像引用元:ⓒ アスミック・エース

前科のある5人の男、キートン・トッド・マクマナス・フェンスター・キントが面通しに集められる。

マクマナスとフェンスターが仕事を持ちかける。

冒険の拒否

堅気になりたいキートンは断り、釈放された5人は去っていく。キートンを説得するキント。

戸口の通過

ユージュアル・サスペクツ画像引用元:ⓒ アスミック・エース

関税局捜査官のクイヤンがキントを尋問する。面通し後の5人の動きを語り始めるキント。

キートンは話に乗り、エメラルド強奪計画を成功させる。

試練、仲間、敵

もう1人の生存者からカイザーソゼの名前を聞くFBI。ソゼの似顔絵を描き始める。

キートンらは取引相手のレッドフットにエメラルドを渡し、金を得る。さらに宝石商襲撃の話を持ちかけるレッドフット。

最も危険な場所への接近

宝石商を襲うキートン達。しかし奪ったものはヘロインだった。

話が違うと対立し、レッドフットと一触即発に。レッドフットは弁護士のコバヤシが持ちかけた計画だと話す。

最大の試練

コバヤシと会うキートンたち。ボスはカイザーソゼと話すコバヤシ。

キートン達はこれまでにそれぞれカイザーソゼの妨害をしており、借りを返すために競争相手のコカイン取引を阻止するように指示する。

苛立つキートンだが、キートンらの過去の経歴を全て書かれたファイルをみて愕然とする。

カイザーソゼの伝説を語るキント。

報酬

逃げ出したマクマナスは殺されてしまう。キートンはカイザーソゼなど存在せず、コバヤシを殺すことを決める。

帰路

ユージュアル・サスペクツ画像引用元:ⓒ アスミック・エース

コバヤシを襲撃するキートン達。しかしすでにキートン達の大事な人を人質にとっており、従うしかないと思い知る。

復活

サンペドロの港。組織を襲撃するキートン達。

コカインはなく、真の目的であったソゼの顔を知る男と共にキント以外の全員を殺すソゼ。

クイヤンはキートンこそがカイザーソゼであり、死んだと思わせるためにわざとキントを生かしたと話す。

保護を勧められるが、ソゼには無駄だと語り釈放されて出ていくキント。

宝を持って帰還

ユージュアル・サスペクツユージュアル・サスペクツ画像引用元:ⓒ アスミック・エース

クイヤンはキントの話が即興で作られた嘘だと気づく。
キントはコバヤシと共に去っていく。

 

映画『ユージュアル・サスペクツ』のテーマ

本作は最後の驚きで魅せる映画で、あまり感情を揺さぶるシーンはありません。
しかし、そもそもなぜカイザーソゼはこのような計画をしたのでしょうか。

キントが全ての発端と話すニューヨークの面通しのシーン。

ここでキートンがキントを含め「地獄に堕ちろ」と話します。

この一言がキントの怒りを買い、キートンにカイザーと全ての罪を着せる計画を立てたのでしょう。

壮大な計画、そして観客を騙す構成から、カイザーのプライドを感じます。

映画『ユージュアル・サスぺクツ』をもっと詳しく

「ヒーローズ・ジャーニー」ともう一つ大切な要素「三幕構成」を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
夜の海とともにタイトルクレジット。

これまでにもありましたが、水面はその下になにがあるのか見えない。つまり裏に何があるのかわからないということを暗示させます。

そしてサンペドロの夜のシーン。この映画の最も重要なシーンを冒頭に持ってくることで、強烈な印象を与えます。

ロープや物が置かれているところを映しています。

真実ではその後ろに誰もいませんが、何かあるのではないか?と観客は想像させ、キントの語りによってそういうことだったのかと繋がらせます。

シーンとシーンを勝手につなげてしまうのが観客の特徴であり、それを利用しているわけですね。

そして5人が次々と警察に連れていかれます。特に重要なキャラクターのキートンはより印象付けるようなシーンに作られています。

面通しとそれぞれへの尋問、キントの語りで各キャラクターを説明。

終わった直後に。留置所でのシーン。マクマナスがヤマをもちかけることで、ストーリーが始まります。

5人の中でキントが物静かであり、詐欺罪ということで一番暴力から遠い存在にしていますね。この設定もカイザーソゼへの布石になっています。
個人的な考えですが、このシーンのやり取りは真実だと思います。

この映画は、クイヤンに話す現在のキント・キントが語る5人の回想・全身やけどの男への尋問、の3つの柱があり、それらがお互いに影響しあいながら話が進んでいきます。

キントがクイヤンに語り始める。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

殺しをしないエメラルド強奪計画を提案することで、さらにキントは暴力から遠い存在になるように誘導しています。

クイヤンはキートンの悪行を語りますが、言葉よりも映像として描かれているキートンのイーディとの関係や、堅気になりたい気持ちの方がより印象に残りますね。

キントとしては、あえて良い人のようにキートンを語ることで、クイヤンのキートンがキントを騙しているという考えに誘導しています。

クイヤンの見ていない一瞬に、不敵に笑うキントがそれを物語っています。

映画の半分・52分に、現在の二つの柱が交差。全身やけどの男から得た情報である「船にヤクはない」「カイザーソゼという名前」をクイヤンが知ります。

続いて弁護士のコバヤシが登場し、カイザーソゼについてさらに深く知っていく展開になっています。

最初に仕事のリスクと報酬、続いてそれぞれのソゼへの借り、さらに仕事の具体的な内容、そして最後にキートン達の全ての経歴。

カイザーソゼの凄さと仕事内容を交互に説明。

続いて現実のキントに戻り、カイザーソゼの伝説について語ります。

その話を聞いていたFBIのジャックも、カイザーソゼについて伝説上の存在のように思っています。

このようにカイザーソゼというキャラクターを、他の様々なキャラクターを使って色々な角度から浮かび上がらせています。

クイヤンがキントを保護すると提案しますが、カイザーソゼであるキントは本当は釈放されたい。

キントのカイザーソゼに対する諦めと、小さなプライドを見せるキントの怒りを使い説得力を生ませて、うまく提案を回避していますね。

フェンスターの逃亡、そしてキートンのコバヤシ殺害計画という反抗を見せますが、カイザーソゼには全く通用しません。

語り、伝説、現在の実際の能力とカイザーソゼを説明していき、ソゼには従うしかないことをキートンも観客も思い知ります。

これが第二ターニングポイントです。

第三幕

サンペドロでの襲撃。

キントの語りなので、襲撃シーンは綿密に描写することは本来ならないはずですが、映画は終わりに近づくにつれて徐々に現実の時間の流れとリンクしていくように作られ、盛り上がって行きます。

キントの居ない船内の動きなど、本当はキントはわからないはずですよね。

銃撃シーンと真の目的であるソゼの顔を知る男の殺害という事実を平行して描かれていきます。

クイヤンの推理のシーン。
全てに説得力があり、キントの嘘まで暴くことでより真実味を感じます。

最後にまた保護を提案しますが、ここでも意地を使って避けていますね。

そしてラスト。
クイヤンはキントの作り話に気づき、カイザーソゼの似顔絵はキント。

不自由な歩き方を辞め、颯爽と去っていくキント。

3つの柱がそれぞれ完結し、映画は終わります。

さいごに

振り返ると、キントは何の準備もなしにわざと捕まり、その場の作り話でクイヤンと観客を騙し、キートンに罪を被せたことになります。

この映画の構成自体が、カイザーソゼの意地・プライドを表していると思います。

答えがわかった状態で見返すと、あらゆるところに細かい描写が仕組まれているので何度見ても楽しめますね。

次回は、12月13日にケン・ローチ監督の新作『家族を想うとき』が公開されるので、同監督の『ジミー、野を駆ける伝説』を研究します!



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– fin –

ABOUT ME
akira
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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