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映画『マイ・フレンド・フォーエバー』の解説(ネタバレ有)無知なキャラだからこそ出来た残酷で美しい物語

マイ・フレンド・フォーエバー
akira
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こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

今回の深掘り映画は『マイ・フレンド・フォーエバー』です。

マイ・フレンド・フォーエバー

1995年公開のドラマ。97分。

エイズをモチーフにした作品であり、当時はまだエイズに対して理解されていない・差別的だった社会を描いています。

主人公を演じたブラッド・エンフロは『ゴールデンボーイ』で東京国際映画祭で最優秀男優賞を獲るなど評価が高い反面、なかなかの問題児で何度も逮捕されています。
しかし25歳で急死という短い生涯でした。

デクスターを演じたジョゼフ・マゼロは『ボヘミアン・ラブソディ』でベースのジョン役を演じるなど今でも活躍しています。

脚本を書いたマイク・ホワイトは主人公の親友ネッド役として出演している。

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映画『マイ・フレンド・フォーエバー』が観られる配信サービス

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。

配信状況

サービス配信状況配信種別
U-NEXT定額 ※1
Prime Video×
NETFLIX×
Hulu×
Disney+×
TSUTAYA DISCAS ※3定額 ※1

※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。

この記事の情報は、2023年12月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。

個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT

U-NEXTはトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。

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映画『マイ・フレンド・フォーエバー』のヒーローズジャーニー

それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。

ヒーローズジャーニーって何?

という方はこちらの記事をどうぞ!!

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日常世界

エリックは孤独な少年。
親は離婚し、一緒に住む母も多忙な日々であまり家にいない。隣に引っ越してきたエイズのデクスターのせいでいじめられている。

冒険への誘い/冒険の拒否

庭でデクスターと柵越しに話すが、会おうとはしないエリック。

賢者との出会い

柵を越えデクスターと会うエリック。友達になり、一緒に遊ぶようになる。

戸口の通過

エイズの治療法を探し始める二人。

試練、仲間、敵

キャンディや植物を試す二人。

最も危険な場所への接近

エイズの治療法を見つけた記事を読む二人。しかし見つけた医師はニューオーリンズでとても行けない。沼に生えている植物らしいので見つけていた怪しい植物のお茶をデクスターに飲ませるエリック。

最大の試練

植物は毒草でありデクスターは病院に運ばれてしまう。エリックの母にばれ、激怒されるエリック。キャンプ行きを命じられる。

報酬

エリックとデクスターはニューオーリンズまで行くと決め、川を下っていく。

帰路

旅の途中で疲れ果ててしまうデクスター。家に戻る二人。

復活

入院してしまったデクスターと遊ぶエリック。デクスターは亡くなってしまう。

宝を持っての帰還

デクスターの葬式。エリックは別れを告げ、デクスターの靴を川に流す。

映画『マイ・フレンド・フォーエバー』のテーマ

主人公エリックは好奇心旺盛で大学の研究結果など物知りでありながら、友達もいなく孤独でした。
いじめられているし、他人への敬意もない。

そんな彼がデクスターと出会うことで変化していきます。

他人へ敬意を持てば、大切な人ができる

これがテーマです。

デクスターはこの世を去ってしまいましたが、デクスターの母・リンダは遊びにきて欲しいと誘ってくれます。

親友が出来る、大冒険、辛い別れ。
エリックの成長する青春物語でもありますね。

映画『マイ・フレンド・フォーエバー』をさらに詳しく

ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
椅子を削る少年・エリック。学校が終わり、夏休みになる。

クラスメイトに隣に引っ越してきた少年をネタにいじられるエリック。一人で家に帰る。

クライマックスで使われるナイフとラストで使われるスニーカーを見せるところから始まります。

エリックはいじめられていることと、家の裏に引っ越してきた少年がいることも同時に説明。一人で帰ることで友達もいないことがわかります。

エリックはおとなしいわけでもなく、『くたばれ』と言い返したりデクスターに暴言を吐いたりと反抗的な性格をしています。

デクスターの母・リンダが登場し、彼らの仲の良さとエリックの冷え切った家庭のシーンを続けることで対比を作っています。

エリックの母・ゲイルとの会話でエリックの家庭の事情も説明。

口が達者なエリックと同じくらい話せるデクスター。エリックをいじめている少年たちとは全く違うキャラクターだからこそ、すぐに友達になってもおかしくないですね。

戦争ごっこやおもちゃを燃やしたりなかなかの遊びをしますが、まだ痛みや死を理解していない子どもということを表現しています。ラストへのフリとして当然の設定です。

再び少年たちにいじめられそうになるエリック。せっかく得意の言葉で勝ったにもかかわらず、石を投げてしまいます。エリックは未熟な少年です。

彼の態度に怒るデクスター。これからエリックはデクスターから他人への敬意を学んでいきます。

ゲイルはこの映画の悪役キャラクターとして描かれていますが、エリックへの愛やエイズの無知ゆえの行動であり根っからの悪ではありません。

悪でなくても悪役を描くことは出来るということです。

エリックもまた無知であるためにエイズの治療法を探すという行動に出ます。これが第一ターニングポイント。子どもならではの発想と行動です。

治療法は見つかるわけもありませんが、夕食のシーンで大人のリンダにぶつけることでドラマを作っています。

第二幕

キャンディや植物を試すエリックたち。子どもらしい発想で微笑ましいですね。

リンダにワニを使って悪戯する二人。いたずらっ子な二人だと見せることで、入院した時の死んだふりの悪戯をしても不自然ではないことを提示しています。

スーパーで買い物をするエリックたち。一瞬の眼差しでリンダを理想の母として見ていることがわかります。

その後一人で泣いているリンダを見てしまうエリック。

料理上手で愛がたっぷりあり、感情や弱気なところを見せない完璧な母のリンダが泣いている。ショックが大きいですね。

映画の中盤で毒草を飲んでしまうデクスター。同時にゲイルにもばれ激怒されるエリック。

大きな問題を畳みかけてきます。

ゲイルはデクスターの状況とそのせいでリンダにも迷惑をかけてしまったことを説明。

やはり良い人ではあります。

テントのシーン。ラストへつながる重要なシーンで、デクスターのどうしようもない深い不安とスニーカーの匂いというエリックなりの発想と優しさを感じます。

ボートの若者を撃退するデクスターの行為は、窮地を救うとともに自分をも傷つけるという両面の要素を持っていて素晴らしいアイディアです。

ニューオーリンズ行きを諦め、家に帰る決断をするエリック。
これが第二ターニングポイントです。

第三幕

医師が奇跡を信じるとデクスターに話しかけ、直後にナースに怒る医師を見てしまうエリック。この映画はファンタジーではなく現実を描く。決して甘くないのです。

医師とリンダと遊ぶデクスターとエリック。幸せなシーンの直後に、大雨で無惨な姿になってしまうデクスターの庭。この後の不幸を暗示しています。

悪戯の伏線を回収し、デクスターがこの世を去ります。

そのシーンではリンダは泣かず、直後の車内のシーンで号泣します。

物語の山場と感情の山場をずらすテクニックで、観客はそれぞれに集中することが出来ます。

リンダがゲイルに激怒するシーン。エリックや周囲の目につかないようにゲイルに訴える人間性を持ったリンダだから、デクスターは人に優しく、敬意を持った子に育ちました。

そしてゲイルも悪い人ではないから、リンダの訴えが心に響いています。

スニーカーの伏線を回収し、エリックはデクスターの靴を川に流します。

『エリックはそばにいる』、そしてニューオーリンズまで行けなかったデクスターの代わりに靴はきっと進んでいくはずです。

さいごに

エイズの治療法を探すという子どもを主人公にしたからこそできる企画と、エイズに対する偏見・差別・無知な社会や大人たちもしっかりと描くことでより深いドラマを作ることができた素晴らしい映画でした。

次回は、ジョン・カーペンター監督のSFスリラー『遊星からの物体X』を研究します。

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-fin-

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ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」をスタート。 生粋のリバプールファン。
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