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映画『がんばれ!ベアーズ』の解説(ネタバレ有)大人が野球を教え、子どもが人生を教える。

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第77回movie laboは『がんばれ!ベアーズ』。

1976年公開のスポーツコメディ映画。
監督マイケル・リッチー、脚本ビル・ランカスター。102分。

続編が2本製作された人気シリーズの一作目。
3作目の『がんばれ!ベアーズ大旋風-日本遠征-』は日本が舞台になっており、若山富三郎・アントニオ猪木・萩本欽一らがゲスト出演しています。

少年野球のコメディ映画と侮るなかれ。スポーツを題材に『勝利よりも大切なものを見つける物語』と言う定型を作り上げた傑作映画です。

映画『がんばれ!ベアーズ』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

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日常世界/賢者との出会い

バターメーカーがリトルリーグの新チーム・ベアーズの監督として雇われる。子どもたちは皆野球初心者、クセの強い個性的なメンバーだ。

冒険への誘い/冒険の拒否

練習を始めるが、子どもたちにまともに野球を教えないバターメーカー。

リーグ戦が始まり、優勝候補のヤンキースに惨敗するベアーズ。オーナーにチームの解散を言われ、子どもたちも多数決で野球をやめると話す。

戸口の通過

心を入れ替え、子どもたちに真面目に野球を教え始めるバターメーカー。

試練、仲間、敵

娘のアマンダ、運動センス抜群のケリーをチームに入れ、ベアーズはリーグの順位を上げていく。

最も危険な場所への接近

次の試合に勝利すればリーグ優勝決定戦に出られるベアーズ。勝利にこだわるバターメーカーはケリーを最大限利用する。

最大の試練/報酬

ケリーの活躍で勝利するが、仲間の仕事も奪うように指示されたケリーは仲間たちから嫌われてしまう。

帰路

リーグ優勝決定戦。バターメーカーがケリーの贔屓を告白し、子どもたちからの信用をなくす。何がなんでも勝利しようとするバターメーカーとヤンキースの監督。暴言を吐き、ミスをした子どもを罵り、姑息な手を子どもたちに無理矢理させる。

復活

それでも勝ちたいベアーズの子どもたち。

ヤンキースの投手が監督に歯向かい、グラウンドを去っていく。その様を見たバターメーカーは出場機会のなかった子どもたちも試合に参加させ、チャレンジした選手を讃える。

負けてしまうベアーズ。

宝を持って帰還

来年に向けてヤンキースに宣戦布告をするベアーズの子どもたち。皆で盛り上がる。

映画『がんばれ!ベアーズ』のテーマ

冒頭でも書きましたが、この映画で伝えたいことはスポーツにおいて勝つことが最も大事!と言うことではありません。

人生の大切なことはトロフィーではなく
楽しみ、挑むこと

これがテーマです。

リーグが始まる前にチームの記念撮影を撮りますが、ヤンキースの子どもたちは真顔でカッコつけさせられています。一方のベアーズは皆無邪気な笑顔。子どもたちはすでに最も大切なものを持っており、それを大人たちや観客は気付かされていきます。

勝利ではなく、楽しんで挑戦することが大切なのです。

このように物語の上で目標となるものは得られなかったが、思わぬ大切なものを得た、という形の物語のタイプをハリウッドでは『金の羊毛』と呼びます。

映画『がんばれ!ベアーズ』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
グラウンドで野球の練習をする子どもたち。バターメーカーがやってくる。オリジナルの酒を飲み、不良のケリーがタバコに火をつけてくれる。ホワイトウッドがやってきて、バターメーカーに小切手を渡す。

野球がモチーフの映画なのでグラウンドから映画が始まります。自分で酒をブレンドして作ることでかなりの酒好きと言うことがわかりますね。酒を持ち歩き、度数を高くしたいのか度数の高い酒を薄めて長く飲めるようにしたいのか、どちらにしろ飲んだくれの印象を与えます。

ケリーの登場も伏線です。不良がグラウンドに来ているのはいきなりだと不自然ですが、最初から居るとそういうキャラなんだな、と受け入れることができます。子どもなのにライターの扱いが上手いのも面白いです。

ホワイトウッドとのやりとりで新チームの監督として雇われたこと、1週間後に試合があると説明。小切手のサインをチェックするところも金に執着がある印象を与えます。

続けてヤンキースの監督を紹介。新チームに対する周囲からのイメージを説明します。映画なので初めの印象は最悪、というスタートですね。さらに続けて子どもたちを練習しながら紹介していきます。短い時間でそれぞれクセの強い子どもたちのキャラクターを鮮やかに説明していて素晴らしいです。甘いもの大好き、口が悪い、野球の知識が豊富、自信がない。子どもたちは皆弱点や足枷を持っています。

10分ほどで設定、主要なキャラクターと主人公の目的の説明を終わらせています。

まともな練習をしないままリーグの開幕戦を迎えるベアーズ。練習をしていないので当然悲惨な試合になってしまうが、気にもしないバターメーカー。チームは解散と言われ、子どもたちもバカにされているようだ。

バターメーカーは奮起し、子どもたちに野球を教え始める。これが第一ターニングポイントです。

バターメーカーは野球選手でしたが、それほど成功した人生ではありません。このままでは同じことの繰り返しになり、子どもたちもこれをきっかけに負け続ける人生になってしまうかもしれない。このままではいけない、と立ち上がるのです。

第二幕

熱心に野球を教え始めるバターメーカー。
優秀なピッチャーで娘・アマンダの誘い方も性格を熟知しているからできる駆け引きですね。アマンダも子どもですが、まるで大人のようなキャラクターをしていて面白いですね。子どもだからといって中身やセリフを幼稚にする必要は全くありません。

リーグで優勝することをメインストーリーに、アマンダとの親子関係の修復もサブストーリーとして始まります。さらに運動神経抜群なケリーをスカウトし、ついに初勝利。

ケリーがチームに入ること、タナーとルーパスのやりとりなど、細かいところで子供たちの葛藤や成長をしっかりと描いています。

二幕の前半は強くなっていくベアーズが描かれ、後半は勝ちに執着し始めたバターメーカーの崩壊を描きます。

ケリーに他の選手のボールを取るように命じるバターメーカー。ケリーは仲間からの信用を失い、ケリー自身も負い目に感じ、大人を再び信じなくなるという最悪のチーム状況になってしまいます。さらに家族の仲を取り戻そうとするアマンダに激怒し、ビールを投げつけるバターメーカー。アマンダもケリーも大人なキャラクターですが、やはりまだ子ども。甘えたい、信じたい存在が必要なのです。

そんななかリーグ優勝決定戦が始まる。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

乱闘で始まる試合ですが、子どもたちは戦う決意をし、試合を続けます。

バターメーカーとヤンキースの監督は勝ちにこだわり、お互いにどんな手を使ってでも勝とうとします。そんな大人を見るベアーズの子どもたちの無言の目のシーンはすごいですね。目は口元以上に物を言う。そして先に崩壊してしまったのはヤンキースの方でした。

相手のチームを使って見せることで、ベアーズの未来を説明するのは上手い方法です。ジョーイが立ち去る時もまた無言。セリフがなくても痛いほど気持ちがわかるので、必要ないのです。

バターメーカーは全員野球を思い出し、子どもたちに自信を与え、チャレンジした選手を讃えます。

本来の目的である優勝まであと一歩と言うところまで来ましたが、敗北してしまうベアーズ。

しかし彼らは落ち込まず、あのルーパスも意気込みをぶつけます。未来の勝利に向かって楽しみながら挑戦し続けるのです。

さいごに

郊外のリトルリーグ、6チームの小さなリーグでの物語。世界を救うわけでもない小さな世界の小さな話かもしれませんが、大人が忘れてしまった人生で大切なものを気づかせてくれるとても素晴らしい映画でした。

次回は追悼・青山真治監督ということで『Primeビデオ』『U-NEXT』で配信中、多部未華子主演の『空に住む』を研究します。

お家映画をもっと楽しくしたい人は、ぜひコチラの記事も読んでみてください。

ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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