映画

今の時代、夢を見ることは贅沢なのか

ソウルフルワールド

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第44回の movie labo は『ソウルフル・ワールド』。

画像引用元:ⓒ Pixar Animation Studios

2020年公開のコンピュータアニメーション・ファンタジーアドベンチャー映画。
監督ピート・ドクター、脚本ピート・ドクター、マイク・ジョーンズ、ケンプ・パワーズ。101分。

コロナの影響で劇場公開が無くなり、ディズニープラスにて配信されました。

映画『ソウルフル・ワールド』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

ソウルフル・ワールド』は、『Disney+』で観ることができます。

『Disney+』へ

日常世界

音楽の非常勤の講師をしているジョー。
ジャズピアノでバンドに入ることを夢見ている。母も夢を諦めて正規の教師になることを喜んでいる。

冒険への誘い

今晩行われる有名なジャズバンドのショーに出ることになったジョー。

冒険の拒否

しかし事故に遭い、天界への入り口へと行ってしまう。死にたくないジョーは逃げ出し、生まれる前の世界・ユーセミナーへと行ってしまう。

賢者との出会い

ジェリーから生まれる前の魂にきらめきを与えるメンターに命じられるジョー。

戸口の通過

何人ものメンターを諦めさせた問題児の魂・22のメンターになるジョー。22にきらめきを与えれば元の世界に戻ることに気づき、ずっとユーセミナーに居たい22は協力してくれることになる。

試練、仲間、敵

22に様々な経験をさせるが一向に22はきらめかない。

ムーンウィンドと出会うジョー。彼の助けで現世に戻るジョーと22。

最も危険な場所への接近

しかしジョーは猫の身体に、22はジョーの身体に入ってしまう。現世に戸惑いパニックになる22。
しかしジョーの教え子のコニーと話すことで現世に興味を示し、再びジョーに協力する22。

現世のムーンウィンドと再会し、ショーの前にジョーの魂を戻すことを約束する。

現世のたわいもないことに感動する22に、呆れるジョー。

最大の試練/報酬

ショーのために身だしなみを整えるジョーと22。母とも和解し、ジャズマンだった父のスーツを着る22。

帰路

22はずっと現世に残りきらめきを探したいと逃げ出す。死ぬはずのジョーを追いかけていたテリーが二人を見つけ、ユーセミナーに連れ戻す。

いつのまにかきらめきを見つけていた22。現世に戻る通行証をジョーに渡し、消える。

復活

現世に戻ったジョー。
ショーに出演し、大成功させる。しかし自分のこころはきらめなかった。

22を通じて、忘れていた生きている感動を思い出すジョー。

22を探しに、再びユーセミナーに戻るジョー。自分を責めていた22に再会し、通行証を返す。

現世に向かう22。ジョーは旅立とうとする。

宝を持って帰還

ジェリーがジョーの行動に感謝し、ジョーを生き返らせる。一瞬一瞬を大切にすると誓い、生きるジョー。

映画『ソウルフルワールド』のテーマ

ジョーの最後のセリフである

一瞬一瞬を大切に生きること

がテーマです。

作中で22を追い詰めていたジョーの言葉のように、

人生に意味を持たせなければならない、生きる意味を見出さなければ人生に意味がない、など決めつけることはなく、生きていることがまず素晴らしいと示しています。

初見で観た時は、生きているだけでいいとも捉えられるテーマに、「現代のこれだけ発達した文明や社会に対してハードルが低すぎる、もっと欲を出して生きられる世の中自体ではないとダメじゃないか」という印象でしたが、今回改めて観て「生きていることをしっかりと肯定する」ことが大前提として大切なんだと伝わってきました。

そしてそれをかつて獣医が夢で、今は床屋として幸せなデズが表しています。

また次回観るときに印象が変わりそうな、観る人によっても意見が変わりそうな、とても普遍的で重要な「人の生き方」に対するテーマを描いています。

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映画『ソウルフル・ワールド』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。授業でジャズを教えているジョー。
生徒たちは皆不真面目だが、コニーだけは一人のめり込んでトロンボーンを吹く。

ジョーがピアノを弾きながらジャズとの出会いの思い出を語る。

校長が正規の教師になったと伝えにくる。

ジャズを扱った映画なのでディズニーのメロディもジャズで表して映画の世界に導き、ジョーの仕事をしているシーンから始めることで、ジョーの職業を説明。一人際立った演奏をすることでコニーも印象付けています。

そしてピアノの腕と音楽への熱意を語るジョー。「音楽のために生まれてきた」と語るジョー、この映画のテーマを表すセリフです。

その後校長とのやりとりの中で、「耳が腐りかけてた」と言うセリフ。

ジョーは「いい音楽をすることが大事である」と言う価値観の持ち主であることも示しています。

その直後の母とのシーン。正規の教師に認められたジョーを喜ぶ母。元教え子のカーリーからの電話。

はっきりと舞台で演奏する夢のことは言いませんが、ジョーの夢は演奏家ということがわかります。

そして母との会話で母は夢を諦めて教師担になって欲しいこと。つまりジョーとは敵対関係にあることがわかります。

本来味方であるはずの家族が敵。主人公のジョーを孤立状態にさせています。

そんなジョーは偶然にもドロシアのバンドに参加するチャンスを得る。

物語の最初の幸運は観客も許してくれるのが物語の不思議なところです。

そしてジョーは実力をみせ、バンドに参加することになる。ジョーが類稀なる才能を持っていること、またこれまで苦労していたジョーが大きなチャンスを得ることも、観客が主人公に共感する要素になっています。

しかし直後にマンホールに落ち、物語が大きく動き出します。

生と死の狭間をまるで宇宙のように表現し、二次元でユーセミナーに落ちていくシーン、ジェリーやテリーも二次元で描いています。3DCGの枠に囚われない表現は「インサイド・ヘッド」でもあったりと、観てて面白いですね。

ジョーが現世に戻る手段は簡単にわかりますが、行くには通行証が必要。そのためには22にきらめきを与えなくてはならない。

ということをメンターへの映像で説明することで観客にも同時に説明しています。

22のメンターに任命されるジョー。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

ボルゲンソン博士と間違えられて22のメンターとなったジョー、誤解を解いて22と通行証をもらう約束をします。そのために次の目標「22にきらめきを与える」という試練が発生し、これが第二幕を通じて描かれます。

22の経験に有名人がたくさん出てきてユーモアがありますね。

自分の人生、そして未来を客観的に見るジョー。

しかしきらめきは簡単には見つからず、裏技へと向かいます。

22とムーンウィンドがジョーに説明する形で、ゾーンの世界と迷子のソウルについて説明します。

ムーンウィンドの技で現世に戻るジョーと22。しかしやはりそう簡単にうまくいかず、ジョーは猫に22はジョーの体に入ってしまいます。

ジョーは死んでからホルゲンソン博士と間違えられ、今度は猫になってしまう。

自分の人生を客観的に見て振り返るように意図的に他人にしていると思います。

初めての地上に混乱しパニックになる22。そしてピザに感動。

22のあり得ないリアクションがユーモアのシーンとして楽しく、そしてそれこそがジョーの忘れていた人生において大事なことだと表す。映画をより面白いものにし、テーマも描くという綺麗な構成になっています。

ジョーの魂の戻り方もムーンウィンドがあっさりと教え、今度はショーのための準備が目標となります。

その準備の中で、現世での喜びや感動を体験していく22。

ショーの準備というシンプルかつさまざまな人と関わることができる試練のおかげで、22は自然にコニーやデズ、母などとの交流や体験をすることが出来ます。

並行して進んでいた悪役のテリーもジョーの存在に気付き、徐々に近づいていきます。

2幕の始まりでタッグとなったジョーと22は、2幕の最後で22が約束を破り、二人の関係は破綻。そしてテリーに見つかり、二人はユーセミナーに連れ戻されてしまいます。

22は通行証をジョーに渡し、ジョーは現世に戻る。
これが第二ターニングポイントです。

第三幕

ショーで大成功をもたらしたジョー。
本来これがジョーのゴールのはずでしたが、達成感は何もありません。

あらかじめ仕立て屋に向かう途中でジョーが地下鉄について語っていたことで、帰りの地下鉄のシーンはなんのセリフもありませんが今までと変わっていないことを表現しています。

窓ガラスを通じて客観的に自分を見ていますね。

家に戻り、22の集めいてたものを見つめるジョー。自分の人生にあった感動を思い出します。それらはユーセミナーで見ていた自分の人生では照らされていなかった思い出です。

そしてその思い出の集合体が人生であり、街であり、ニューヨークであり、宇宙である。

クライマックスなので暴れる22を使ってアクションシーンにして盛り上げています。

22を追い詰めていたのはジョーが言っていた言葉・価値観。しかし人の生き方に気づいた・物語を通じて変化したジョーはそれを打ち壊せるようになりました。

そして最後、正しいことをしたジョーは棚ぼたで生き返る。本来目指していたものは得ることが出来ませんでしたが、別の(自分が気づいていなかった)もっと大事なものを得るという形です。

ジョーは自分が意図せず最も大事なゴール、「一瞬一瞬を大切に生きる」ことが出来ました。

さいごに

生き方と夢。人生でやりたいことと現実に出来ること。

全てがうまくいくほど単純ではない人生でどう生きていくのか。夢は贅沢ではなく結果に過ぎないかもしれません。

物語を通じて自分の人生に問いかけてくるような映画でした!

少し気になる点としては、22のきらめきはなんだったのか、22はどんな人に生まれたのか、は知りたかったですね!

そしてジョーの舞台が成功する展開も、もちろん伝えたいことは分かるのですが、やはり失敗の方が分かりやすいのではと思います。

技術は確かだったが夢潰えたジョー、しかし人生の大切さに気づき、その後に路上ライブなどで楽しく弾いたピアノが生徒たちのこころに響く…みたいなストーリーもありかなあ、なんてことも思いました!

次回はAmazonプライムビデオとU-NEXTでも配信している『ビバリーヒルズ・コップ』を研究します!

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1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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