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映画『スラップ・ショット』の解説(ネタバレ有)何がなんでも勝ちたい男は何のために?

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こんにちは。akiraです。

第82回のmovie laboは『スラップショット』。

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1977年公開のスポーツコメディ映画。
監督ジョージ・ロイ・ヒル、脚本ナンシー・ダウド。123分。

監督のジョージ・ロイ・ヒルは『明日に向かって撃て!』『スティング』などの名作を手がけています。
そんな監督がかなり変化球な本作を撮るのは少し意外で面白いですね。

映画『スラップ・ショット』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

https://kurashi-create.com/heroes-journey/

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

日常世界

全米アイスホッケーのマイナーリーグで最下位のチーム・チーフスの選手兼コーチをしているレジ。妻のフランシーヌとは別れ、それぞれの道を進む予定だ。

スポンサーの街の工場は閉鎖され、解散が噂されている。

冒険への誘い/冒険の拒否

マネージャーの独断で新戦力のハンセン兄弟が加入する。おもちゃを持ち込む幼稚なハンセン兄弟に呆れるレジ。

賢者との出会い

選手のブレイドンと彼の妻・リリー。ブレイドンはリリーをそっけなく扱い、連れてこられたリリーはこの街が嫌いだ。

戸口の通過

シーズンが始まる。マネージャーからチームの解散を告げられ、愕然とするレジ。番記者を利用し、レジはチームメイトにチームが買収されるかもしれないと嘘をつく。

試練、仲間、敵

ハンセン兄弟のラフプレーに盛り上がる観客。レジはラフプレーに活路を見出し、あらゆる手を使って観客を盛り上げ、勝利を積み重ねていく。一方ブレイドンは卑怯なやり方に納得せず、ラフプレーは絶対にやらない。

最も危険な場所への接近

観客をも巻き込んで暴れるハンセン兄弟。

最大の試練

ハンセン兄弟が逮捕されるも、釈放するマネージャーとレジたち。チーフスは優勝を狙えるチームになり、チームメイトたちにも自信がついてきた。

報酬

ブレイドンに愛想をつかしたリリーを誘い、レジと同居が始まる。レジはフランシーヌによくなったチーム状況と実績を自慢するも、フランシーヌは引っ越すと告げる。

帰路

オーナーと会うレジ。税金対策でチームを持っており、チームが黒字になったため売らないと話し、逆ギレするレジ。

復活

優勝決定戦。正々堂々と戦おうと仲間に提案し、ハンセン兄弟らも納得して戦うチーフス。しかし相手は荒くれ者を揃え、前半でボロボロにされるチーフス。

だがメジャーリーグのスカウトが見にきていると知る目の色を変えるレジ。後半は乱闘を始めるレジたち。

ブレイドンはベンチで傍観していたが、観客席で楽しそうにしているリリーを見ると心変わりし、リンクでストリップショーを始める。相手チームの試合放棄となり、チーフスの優勝となる。

宝を持って帰還

優勝パレードをしているチーフス。荷物を持ったフランシーヌに、有名チームに雇われたと誇らしげに話すレジ。しかしフランシーヌは去っていく。レジはまだやり直せると信じている。

映画『スラップ・ショット』のテーマ

ただ愛のために人は動く

これがテーマです。

レジはフランシーヌと再びよりを戻すためにチームを強くし、自分の評価を高めようとする。

ネッドはラフプレーをして盛り上がっていくチームを嫌悪していましたが、リリーの喜ぶ姿を見て一瞬で考えが変わり、ストリップショーをする。

一見するとはちゃめちゃな映画ですが、最下位のチームが優勝する王道ストーリー、愛する人のために行動するというシンプルなテーマなのです。

映画『スラップ・ショット』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
テレビ番組のインタビュー。チーフスの選手がアイスホッケーのファウルについて説明する。

アイスホッケーの映画なのでアイスホッケーの選手が登場。この映画の一番の特徴のラフプレーについて話し、バカがやることと皮肉を込めつつ印象付けをします。席を離れるなど堅い映画ではなく緩いトーンの映画であることも示しており、ふさわしいオープニングですね。最後に今夜の試合の予告をして、次のシーンに続きます。

主人公のレジら選手たちが紹介され、同時に罵声が飛ぶ。普通ではない状況に一気に物語に引き込まれます。試合前にどうでもいい会話をし、選手の妻たちは試合そっちのけで夫の話をする。試合の後はファッションショーをするチーフス。単純なスポーツ映画ではないと感じさせますね。いい味が出ています。

子どもにも罵声を浴びるレジ、スポンサーの工場の閉鎖と背景を示し、サブストーリーの主人公・ブレイドンとリリーの関係も説明。ハンセン兄弟も登場、とテンポ良くストーリーが進んでいきます。ハンセン兄弟の登場の仕方、ビジュアルも絶妙ですね。

家に帰ってきたレジとフランシーヌ。別れる予定の二人。レジは今のままでは仕事の将来もありません。全ての説明を終えるまで20分。少し長いですね。

控室で浮いているハンセン兄弟。異物感を印象付けるとともに、チームに足りない何かを持っておりそれが徐々に周りに浸透していく、ということまで見えてきますね。

レジが入るなりチームの解散を告げるマネージャー。無駄なやりとりなく切れ味のあるセリフです。

チーム売却の嘘をつくレジ。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

相手選手を怒らせて勝つレジ。ここからどんな手段を使っても勝とうとする何でもありのレジが始まります。さらにハンセン兄弟が試合に入り、よりラフプレーが加速していきます。乱闘したらなぜ勝つのかはよくわかりませんが、そこら辺を気にするような雰囲気をここまでに作り上げているので、指摘するのは野暮ってものです。『いま国歌だぞ』と怒るハンセン兄弟は最高です。

チームを売るために勝つ、有名になってフランシーヌとよりを戻す。レジの外的ストーリーの目的と内的ストーリーの目的が一緒になっている素晴らしいプロットですね。

次第に仲間たちにも伝染してラフプレーに乗り気になり、それぞれモテるために体を張っていく。レジも含め男はなんと哀しい生き物なんでしょうか。

チームの好調ぶりとは真逆に、ブレイドンとリリーの関係はどんどん悪化していきます。そんなリリーを誘うレジもなかなかのくず男ですね。

元々売却が嘘だったため、本当にチーフスを売らせるためにオーナーに会いに行ったのでしょう。しかしオーナーが売却しないと知り、逆ギレするレジ。このような局面での反応がキャラクターを最も表します。

決勝戦を真っ当に戦おうとチームに指示するレジ。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

乱闘をやめて戦う前半。しかしスカウトがいると知ると目の色を変えてやっぱり乱闘を始めるレジたち。そしてクライマックスはブレイドンのストリップショー。楽しそうなリリーのためにブレイドンは生まれ変わりました。音楽隊のノリやおばあちゃんの反応も最高です。

ラストシーン。パレードの列を外れて進むフランシーヌの車。フランシーヌはレジの人生と外れて生きていくということを示していますが、そんなことには気づかずいまだによりを戻せると信じているレジ。華やかなパレードとは対照的に彼の哀しさ・哀れさをひしひしと感じさせるラストです。

さいごに

この映画でしかありえない唯一無二のクライマックス。他では見られないこの映画だけ、というのは最高の褒め言葉ですよね。

次回はサンダンス映画祭で観客賞・脚本賞を受賞した『さよなら、いつかわかること』を研究します!

お家映画をもっと楽しくしたい人は、ぜひコチラの記事も読んでみてください。

ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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