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映画『幸せをつかむ歌』の解説(ネタバレ有) たとえ身勝手でも、愛していいじゃないか。

幸せをつかむ歌

こんにちは。
akira@akira_movielabo)です。

第66回のmovie laboは『幸せをつかむ歌』。

2015年公開のコメディドラマ。監督ジョナサン・デミ、脚本ディアブロ・コディ。101分。

ディアブロ・コディは『JUNO/ジュノ』でデビューし、アカデミー賞脚本賞受賞。
すごい人ですね。

主演はメリル・ストリープ、そして実娘のメイミー・ガマーが娘役として親子で共演しました。

映画『幸せをつかむ歌』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

日常世界/賢者との出会い

バイトをしながら『ザ・フラッシュ』というバンドを組み小さなライブハウスで歌っているリッキー。ギターは恋人のグレッグで、高価なギターを愛用している。

冒険への誘い

元夫のピートから娘のジュリーが離婚してとても不安定になっている、助けてほしいと連絡がくる。後妻のモーリーンは実家に帰省して不在だ。

冒険の拒否

ピートの家を訪れるリッキー。だがジュリーはピートを捨てたリッキーを嫌っている。

戸口の通過

ジュリーが薬で不安定になっていると謝り、リッキーも受け入れる。ジュリーは自殺を試みていたことを知る。

試練、仲間、敵

息子のジョシュ。アダムと会うリッキー。ジョシュはエミリーと婚約をし結婚式も準備している。ゲイのアダムは理解しようとしないリッキーを嫌っている。

ジュリーの身だしなみを整えさせるリッキー。

最も危険な場所への接近

元夫の車を見つけるジュリー。

最大の試練

怒るジュリーを抑え、ピートとリッキーが元夫らを言い負かす。

報酬

ピート、ジュリーと昔を思い出しながら楽しい時を過ごすリッキー。

帰路

モーリーンが帰ってくる。ジュリーのためにもう帰ってほしいと言われ、家に帰るリッキー。自分はダメな母親だったと自暴自棄になるリッキーだが、励ますグレッグ。

モーリーンからジョシュとエミリーの結婚式の招待状が送られてくる。

トラブルの元になるしお金もないと行かないと決めたリッキー。

復活

グレッグが愛用していたギターを売り、旅費を用意してくれる。感激するリッキー。

結婚式に参加する。二人のお祝いにザ・フラッシュで歌うリッキー。

宝を持って帰還

ライブは盛り上がり、皆で歌い踊るリッキーら家族。

映画『幸せをつかむ歌』のテーマ

親が抱く子供への愛は他人が決めるものではない

これがテーマです。

ミュージシャンという自分の夢を追いかけて親であることを捨てたリッキー。確かにいいことではないのかもしれませんが、それでも子供を愛していないということではなく、自分が愛するという気持ちは自分で決めるものです。

もちろんそれで許されるものでもありませんが、愛というのは時間や費やしたもので決まるものではない、不思議で特別なものでもありますね。

映画『幸せをつかむ歌』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
主人公リッキーの組んでいるバンド・ザ・フラッシュのライブから始まります。

ロックがモチーフの映画なのでもちろんロックシーンから。リッキーの実力とバンドメンバー・グレッグのギター、バンドの認知度や状況などを説明していると同時に一気に映画の世界に引き込むフックにもなっていますね。本編には関係なくともリッキーの政治的観念が盛り込まれていることでキャラに深みが出ています。特にアメリカでは応援する党でキャラをイメージしやすいみたいですね。ステージ上のグレッグの扱いも伏線になっています。

最後に電話の相手の謎を置いてシーンが終わり、リッキーの日常を描きます。

笑顔で叱る上司、怖いですね。弱い立場のリッキー。

職場でのピートとの電話。大豪邸のピートとリッキーの職場との対比で経済的な格差が表現されています。アルツハイマーに関する小さな言い争いも二人のうまくいってなさを描いています。細かいですが上手いです。

ピートの家を訪れるリッキー。ペットの犬や飛行機の話でリッキーがかなり長い期間ピートと会っていないことが説明されます。すぐにマリファナを見つけてしまうところもさすがですね。続いてジュリーとの最悪な再会。しかしそれも翌朝にはすぐに解消し、仲良くなります。ワンシーンごとに状況が変わっていく。とてもテンポが早くて素晴らしいですね。

ジュリーと仲直りしドーナツ店に向かう。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

ドーナツ店でのシーン。
他の客に対して怒るリッキーとジュリー。

同じ敵に対して怒ることで二人がチームのように描かれ、味方になったことを表現しています。『ノッティングヒルの恋人』のレストランのシーンでもあった手法ですね。

ジュリーと仲良くなったと思ったら今度はピートと言い争い。そしてアダムやジョシュとの再会。一つ一つ丁寧かつ素早く家族の関係を描いています。リッキーはどの人とも問題を抱えています。

レストランで家族と夕食のシーン。

ジョシュの結婚式を隠していたことやアダムとの過去を交えながらの6人の会話。

キャラの心情や過去のやりとりを考えていなければできないシーンですね。

そして他の客の冷ややかな反応も見せています。この映画では一貫して他者からの視点や反応を盛り込んでいます。

アダムとジョシュとのシーンはこの後結婚式までないのですが、二人の設定や状況が無理なく鮮やかに説明されていてとてもわかりやすく、上手いです。ジュリーという厄介者でさらに状況が状況なので荒らしてもおかしくないようなキャラを使っているおかげですね。

オチの破産も流石です。

元夫との対決も終わり、元気を取り戻したジュリー。ジュリーとの話は映画の半分ほどで終わりましたが、これで終わりではありません。ジュリーとの話はあくまでストーリーのきっかけであり、本当のストーリーは家族の絆の再生です。

ピートの夜食のシーン。リッキーとの関係を我慢するピート。安易にリッキーの元に戻らせない。モーリーンとの話のシーンでも同様に感情を爆発させず、理性で抑えていながらもバチバチと喧嘩を描いていて大人な世界になっています。商品コードで始まり商品コードで終わる。上手いですね〜。

家に帰ってからのグレッグとの対立も、ステージ上と厨房のシーンだけと素早く終わらせる。

その対立にはグレッグの過去を通じて映画のテーマが描かれているため、ストーリーから離れておらずまとまりがあります。

ジョシュとエミリーの結婚式に向かう。これが第二ターニングポイントです。

サブストーリーとしてグレッグとの恋があり、二幕を終わらせると同時にサブストーリーのクライマックスと言える二人のステージが描かれています。

第三幕

披露宴ではロック調の服装ではなく、ドレスを着ているリッキー。

スピーチの自己紹介でもリッキーではなくリンダと名乗り、ジョシュとエミリーに歌を贈ります。母親として二人に歌っているのです。

そしてその歌は皆の心をつかみ、家族の絆を取り戻しました。

さいごに

シンプルな展開に家族愛を描いた王道のテーマ。
メリル・ストリープの歌や振る舞いも素晴らしかったですね。実の娘との共演も、知っているとまた一層味わい深く観れました。

次回は『U-NEXT』で配信中の『ゾンビコップ』を研究します。

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1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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