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映画『フィラデルフィア』の解説(ネタバレ有)正義の名の下に、命をかけて偏見と戦った男の物語。

philadelphia

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第80回のmovie laboは『フィラデルフィア』。

1993年公開の法廷映画。
監督ジョナサン・デミ、脚本ロン・ナイスワーナー。125分。

第66回アカデミー賞にてトム・ハンクスが主演男優賞を。ブルース・スプリングティーンの楽曲『ストリーツ・オブ・フィラデルフィア』が歌曲賞を受賞しました。

他にも第44回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞、第51回ゴールデングローブ賞主演男優賞、歌曲賞なども受賞しました。

映画『フィラデルフィア』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

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日常世界

優秀な弁護士のアンディ。エイズを患っており、治療をしながら仕事をこなしている。

冒険への誘い

事務所の社長がアンディの昇進と大仕事を頼む。

冒険の拒否

仕事を終えたアンディ。しかし渡したはずの重要な書類が紛失したと報告を受ける。

賢者との出会い

1ヶ月後。弁護士ジョーの元を訪れるアンディ。エイズを理由に解雇されたとして事務所を訴えると話すが、ジョーは無理だと話す。ジョーはエイズをおそれ同性愛者を嫌悪している。

戸口の通過

偶然差別を受けるアンディを目の当たりにするジョー。アンディとともに裁判に取り掛かる。過去にも同じ裁判で勝訴している。

試練、仲間、敵

家族にも裁判を説明し、応援してもらうアンディ。裁判が始まる。

世間の注目度も高く、裁判所の外ではデモも起きている。

最も危険な場所への接近

裁判が進み、次第に同性愛への偏見も表れてくる。ふざけた同性愛者にも同性愛者に思われ激怒するジョー。

最大の試練

裁判中に性的な質問をするジョー。エイズのみならず同性愛者への偏見も扱う裁判だと訴える。

報酬

アンディが証人として法廷に立つ。社長らは過去に同性愛者をバカにしており、告白できなかったと話す。アンディの体にはエイズのあざが出ている。

帰路

事務所の社長が証人として呼ばれる。否定する社長。アンディが倒れる。

復活

アンディ不在の中裁判は進み、アンディ側が勝訴となる。

アンディと会うジョー。その夜、アンディはこの世を去る。

宝を持って帰還

アンディの家。祭壇に飾られたアンディの遺影。ジョーら多くの友人が集まっている。

映画『フィラデルフィア』のテーマ

エイズや同性愛の差別と戦う

これがテーマです。

アンディのエイズによる不当解雇の裁判が物語の軸ですが、徐々にエイズや同性愛に対する偏見と戦うテーマへとシフトしていきます。

デンゼル演じるジョーも物語の最初はエイズに対する無知からの恐怖・差別、同性愛者に対して嫌悪感を抱いていましたが、裁判を通じてエイズへの理解、同性愛への差別、同性愛者の態度・価値観が変化していきます。

知らないことや同性愛者を理解しようとしないことがどれだけ人を傷つけることになるか。少しづつ改善されているものの、現代でもいまだに続いているテーマです。

映画『フィラデルフィア』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
フィラデルフィアの街並み。ゆったりとした音楽とともに、舞台となるフィラデルフィアを映します。激しい映画ではなく、落ち着いたトーンの映画だと説明する導入ですね。

続いて判事にお互いの弁護を言い合うアンディとジョー。二人の仕事を説明する手っ取り早い方法です。エレベーターに書かれた『正義なければ平和はない』の落書きは、この映画のテーマを見せています。

エレベーター内では松葉杖の男がボタンを押し、アンディとジョーは自分の仕事をして気遣いを全く見せません。他人を気にせず、知らず知らず他人を傷つけたり迷惑をかけている二人。これもテーマを表現していますね。

アンディの仕事面を説明したら、病院のシーンでプライベートな面・重い病気を患っていると説明します。

続いて事務所のシーンで事務所内のアンディの立ち位置を説明。皆に信頼され仲も良いと見せます。社長ら上層部と会い、大仕事と昇格が決定。シーンの終わりでアンディのアザに言及。

ここまで映画が始まって12分。必要な要素や重要な登場人物を全て説明しました。ミゲールは出ていませんが、本筋には絡まないキャラなので問題ありません。

体調が悪化するアンディ、重要な訴訟の書類が紛失。一幕の帰路と言える崖っぷちにアンディを追い込みます。どんなに危機的な状況でも冷静に動き諦めないアンディ。危機的な状況こそキャラクターが表現されますね。

事務所を訴える決意をしたアンディ。ジョーに説明する形でエイズも観客に告白します。

ジョーの反応でエイズに対する世間のリアクションを代弁しています。弁護士ほどの人間でもエイズに関しては全く知られていない時代、ということですね。エイズと知り距離をとる、アンディの触ったもの一つ一つを映す、すぐに病院にいく、とジョーの行動と映像を使い丁寧に偏見を表現しています。

社長がアンディをクビにするシーンでも距離をとっているのも同じことですね。威圧感もあり差別を感じさせます。

理不尽で馬鹿げた訴訟も引き受けるジョーだが、アンディの訴訟は断る。問題の大きさをワンシーンの中で対比を使って表しています。インポッシブルな問題ほど物語は面白くなるのは当然です。

ジョーの事務所を出た直後のアンディの顔。トム・ハンクスの素晴らしい演技です。

妻との会話を使ってジョーの同性愛に対する偏見をはっきりさせ、そのジョーが差別を受けるアンディを目の当たりにし、ともに訴訟を起こすと決める。これが第一ターニングポイントです。この問題はエイズだけでなく同性愛に対する偏見でもあるとすでに提示しています。

本作の主人公はアンディですが、実際に変化をするのはもう一人の主人公・ジョーです。

第二幕

訴訟されたことで初めて敵側の社長視点のシーンが出てきます。口裏を合わせ、ボブだけは心に引っ掛かりがあることを説明。

アンディは家族と会い訴訟の説明し理解してもらいます。示談や家族関係など他の選択肢や問題を早めに処理しておくことで、裁判でどちらが勝つか、それだけの問題に集中するようになっていますね。

裁判が始まり、最初の証人とのやりとりで事務所の圧力を感じさせます。一筋縄ではいかない問題です。

外では人々が集まり、この裁判の世間の注目度を説明。ジョーも実際に周囲からいじられることでさらに同性愛に対する偏見を体験していきます。

同僚の冗談ではなく、バーの店主のサラッとした一言で人々は心から嫌っていることを見事に表していますね。

さまざまな証人を呼びながら穏やかに進む裁判。しかし突如ジョーは性的な質問をして場が混乱します。その直前には同性愛者に誘われるシーンもあり、映画のちょうど半分の時点にあるこのシーンでジョーがエイズと同性愛に対する偏見は密接に関係しているとはっきりさせます。

この映画のテーマは裁判ではなく『差別・偏見』なのです。

しばらく緊張感のある裁判のシーンが続いていたので、仮装パーティーのように一気に雰囲気が変わるシーンはとてもいいですね。

その後のアンディのオペラのシーン。死期の迫った男を表現した凄いシーンです。実際にはありえないような光を使ったジョナサン・デミの演出もさすがですね。これぞ映画です。

アンディが証人として法廷に立つ。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

アンディと社長が証人として発言する。アンディの身体のアザを直接映さず、鏡越しに見せることでよりアンディに同情を誘いますね。

敵側の弁護士も合理的で的確な質問をしていましたが、社長の仲間だったボブが味方し、陪審員は偏見をもたず公正に判断してくれて救われました。

アンディの最期。『もう逝ける』というセリフから、アンディは最後に命をかけて偏見と戦いきりました。

ラストシーン。アンディの幼少期のビデオ。アンディのことを深く知った観客たちは彼の親友であり、ただ遊んでいるだけの映像にも彼を想い深く心を打たれます。

さいごに

淡々と進んでいきながらもテーマを明確に表した脚本。トム・ハンクスの素晴らしい表情。アンディのオペラのシーンでは存分に味を出したジョナサン・デミ監督。そして音楽。全ての要素が揃った素晴らしい映画でした。

次回は実話を元にした傑作バスケ映画『勝利への旅立ち』を研究します!

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ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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