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映画『ネブラスカ ふたつのこころをつなぐ旅』の解説(ネタバレ有)歩くことは止められても、走る車は誰にも止められない

ネブラスカ
akira
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こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

今回の深掘り映画は『ネブラスカ ふたつのこころをつなぐ旅』です。

ネブラスカ

2013年公開のコメディ映画。
監督アレクサンダー・ペイン、脚本ボブ・ネルソン。115分。

アカデミー賞では作品賞・監督賞・脚本賞などでノミネート。
カンヌ映画祭ではパルムドールにノミネート、ブルース・ダーンが男優賞を受賞など、沢山の賞に選ばれています。

特徴的なモノクロは、監督が「象徴的、典型的な外観」を生み出すために決めたそうです。

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映画『ネブラスカ ふたつのこころをつなぐ旅』が観られる配信サービス

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。

配信状況

サービス配信状況配信種別
U-NEXT定額 ※1
Prime Videoレンタル ※2
NETFLIX×
Hulu×
Disney+×
TSUTAYA DISCAS ※3定額 ※1

※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。

この記事の情報は、2023年12月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。

個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT

U-NEXTはトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。

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映画『ネブラスカ ふたつのこころをつなぐ旅』のヒーローズジャーニー

それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。

ヒーローズジャーニーって何?

という方はこちらの記事をどうぞ!!

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日常世界

デイビッドは電気店の店長。

父・ウディは1億の宝くじに当選したと思い込んでしまっており、なんとしても交換したいと遠くまで歩こうとして周囲を困らせている。

冒険への誘い/冒険の拒否

勝手に歩いて向かうウディを何度も見つけて止めるデイビッド。
「息子なら連れてけ」とウディは言うが、仕事があると断るデイビッド。

戸口の通過

母・ケイトに怒られながらも、ウディを連れて出発するデイビッド。

試練、仲間、敵/最も危険な場所への接近

途中、酔っぱらったウディが怪我をしてしまい、ウディの出身地に住むレイ伯父さんの家に滞在することになる。
ウディの戦争体験、ケイトとの若い頃の関係を知っていくデイビッド。
ウディの高額当選が旧友のエドら街の人々に知られてしまう。

最大の試練

エドや親戚たちがウディに金をたかりにくる。しかしケイトが断固として断る。

報酬

ウディの生まれた家を訪れるデイビッドたち。

帰路

レイの息子たちに当選の手紙を盗まれてしまい、インチキとバレて捨てられてしまう。手紙を探す2人。
その手紙はエドに拾われてしまい、ウディをバカにするエド。手紙を返してもらうウディ。デイビッドはエドを殴る。
デイビッドは帰ろうとウディを説得し、受け入れるウディ。

復活

しかし再び勝手に歩いていこうとするウディを見つけ、デイビッドはウディを連れて交換所へ向かう。
当選していなかったウディ。
デイビッドはウディの名義でトラックとコンプレッサーを買う。

宝を持っての帰還

ウディにトラックの運転をさせるデイビッド。
エドや親戚たちに見せるように走るウディ。2人は帰っていく。

映画『ネブラスカ ふたつのこころをつなぐ旅』のテーマ

デイビッドの家に元彼女が訪れるシーンで、元彼女は

結婚するにしても別れるにしても、
とにかく行動しないとね
 』

と話します。これが本作のテーマです。

植物にも水を与えず、元彼女への発言も自己中心的。電気店の接客でも名前を間違える。
これまでのデイビッドは人のために何かをする、人のことを考えることがないようです。

そんなデイビッドがウディのために行動することで、ウディのことやウディの過去、ウディのためにするべきことが分かっていきます。

行動することで良くも悪くも色々なことが分かり、行動することで相手に想いが伝わるのです。

映画『ネブラスカ ふたつのこころをつなぐ旅』をさらに詳しく

ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
激しく行きかう車道の脇を歩くウディ。警官が語り掛けるも、ウディは歩いていく。

映画の始まる前からウディの「当選金をもらいに行く」という物語はスタートしており、その途中から映画が始まります。
警官がいても突き進むウディに、キャラクターが表れています。

なんといってもこの歩く姿がなんか良いんですよね。

警察署。デイビッドがウディに尋ねる形で、当選金が観客に説明されます。
当然考えるようなことをデイビッドが話しウディが否定することで、やや強引かもしれませんが疑問を処理します。

劇中、多くの人がウディに100万ドルで欲しいものを尋ねます。トラックとコンプレッサー。ラストへのために強調しています。

電気店の接客シーン。
接客の途中からシーンが始まり、電話が来たという所で終わります。
見ればわかる職業であり、電話の内容も予想がついて次のシーンですぐにわかるため、省略しています。
遅く始まり、早く終わるとシーンに無駄が無くなります。

毒舌のケイトだけではいまいち信用できませんので、ロスの登場でウディに対する家族の意見をはっきりとさせます。

ウディを連れて出発する。
これが第一ターニングポイントです。

第二幕

ラシュモア山のシーンや線路で入れ歯を探すシーンも、物語上要らないかもしれませんが、キャラクターが表れていて面白いシーンです。

レイの息子のバートとコール、そしてウディの兄弟たちは車の話しかしません。
この世界の男たちにとって「車」は男のステータスであり、だからこそラストのトラックで走るシーンがウディの勝利を表しています。

墓地にてケイトがウディ家の歴史について教えてくれます。
ウディの弟で同じ名前のデイビッドの墓石を映し、その直後にデイビッドを映しています。
憶測ですが、酒を呑まないのも「何も救われないから」と話していることもあり、映画の始まる前にあった彼女との別れの時に、デイビッドは自分の死や人生の価値について考えていたのではないかと思います。
下ネタばかりのケイトも面白いキャラクターです。

新聞社でペグからデイビッドはウディの戦争体験、そして当時のウディの恋愛に対する考え方を知り、ウディへの見方が変わります。

僕が大好きな注文のシーン。
10分見ても見当違いな注文をするウディ、おすすめを聞いておきながら結局自分の食べたいものを頼むケイト、店員に配慮しておすすめを頼むデイビッド。
注文だけでもキャラクターが表れていてとても面白いです。

悪役のバートは権力と話術で、バートとコールは強引に、と異なった方法でデイビッド達に迫ります。

親戚たちが金をたかるシーンで、毒舌のケイトが強力な味方になっているのは面白いですね。ケイトは芯の通った強い人です。

ウディの育った家を訪れるシーン。デイビッドがウディに農業を継ぐ気はなかった?と尋ねます。
はぐらかすウディですが、その顔は映りません。つまりセリフは嘘で、実は後悔している。だからこそデイビッド達に何かを残したいと想ったのだと思います。

デイビッドの世代、ウディの世代、ウディの父の世代。と三世代について考えられている設定です。

廃れた家ですが、ラシュモア山とは違い、訪れることに意味のある場所です。

コンプレッサーを奪うシーンではゆるーいサスペンスが起きていてなんだかほんわかします。

捨てられた手紙を探しに向かう。
これが第二ターニングポイントです。

第三幕

一度は辞めると言ったものの、やはりリンカーンに向かおうとするウディに折れ、ウディを連れていくデイビッド。
当選していませんでしたが、デイビッドはトラックとコンプレッサーをウディに買ってあげます。
宝くじの人がくれたとデイビッドは言いますが、ウディは嘘だと気づいているのでしょう。ちらっと見るウディがとてもかわいいですね。

クライマックス。
息子からもらったトラックに乘り、ゆっくりと走るウディ。それは100万ドルを当てて買ったトラックよりも価値のあるものかもしれません。

さいごに

ネブラスカ ふたつのこころをつなぐ旅は、派手なシーンはありませんが、個性的なキャラクターたち、じんわりと染みる感動と面白さがある映画でした。

アレクサンダー・ペイン監督は、どの作品も面白いので他の作品も研究したいですね。

次回はドリュー・バリュモア主演のラブコメディー映画『2番目のキス』を研究します!

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-fin-

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ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」をスタート。 生粋のリバプールファン。
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