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映画『デイブは宇宙船』の研究(ネタバレ有)名前を持つ意味

デイブは宇宙船

デイブは宇宙船画像引用元:ⓒ 20th Century Fox Home Entertainment

2008年公開のコメディーSF映画。91分。
監督ブライアン・ロビンス、脚本ロブ・グリーンバーグ、ビル・コルベット。

日本では未公開、公開されたアメリカでは酷評されたこの映画。
たしかにB級映画と言われるかもしれませんが、僕はそんなにつまらないとは思いません。

主演エディ・マーフィの顔芸が光る作品です

シナリオもたしかにツッコミどころはたくさんありますが、見終わった後に楽しかったと思える映画で僕は好きな作品です。

映画『デイブは宇宙船』のヒーローズ・ジャーニー

それでは今回もヒーローズ・ジャーニーを見ながら研究していきましょう。
「ヒーローズ・ジャーニーって何?」いう方はこちらの記事をどうぞ!!

ヒーローズ・ジャーニー
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日常世界/冒険への誘い/冒険の拒否

人型のハイテク宇宙船に乗り、地球にやってきた小さな宇宙人・ニル星人たち。

故郷を救うためのエネルギーとして、地球の海水を吸い尽くし、塩を手に入れようと計画し、そのために地球が滅んでしまっても仕方ないと考えている。

あらかじめ送っていた塩を得るための装置・オーブを探すニル星人。

ジーナと交通事故に遭い、残りのエネルギーは48時間しかなくなってしまったが、司令官がクルーを鼓舞し、任務を続ける。

賢者との出会い/戸口の通過

デイブは宇宙船画像引用元:ⓒ 20th Century Fox Home Entertainment

ジーナと再び出会い、「デイブ」と名乗る司令官。朝食に誘われ、ジーナの家へ。
ジーナの息子・ジョシュが見つけた隕石がオーブだと気づき、学校へ向かう。

仲間、試練、敵

人のさまざまな文化、行動を見ていくニル星人たち。
警官のドゥーリーがデイブの着地跡を調べ、顔の型を取る。
ジョシュを見つけるが、オーブはリッチといういじめっ子に取られてしまっていた。

最大の試練

売店で強盗と出くわすジョシュとデイブ。
デイブが撃退し、感激するジョシュ。
夕食を誘われ、翌日の祭りにもリッチが来ると推測し、一緒に行く約束をする。

報酬

デイブは宇宙船画像引用元:ⓒ 20th Century Fox Home Entertainment

祭りを楽しむデイブとジーナ、ジョシュ。
リッチを見つけ、オーブを取り返す。
そしてクルーたちの中には感情や文化を楽しむように変化する者が出てくる。

帰路

任務を優先するべきと副司令官から反対されるも、その後もジーナたちと楽しむ司令官。

しかしドゥーリーら警察に見つかり、捕まってしまう。
さらに副司令官の反乱が起き、司令官は囚われ、「デイブ」が乗っ取られる。
副司令官の指示で人間へ攻撃をし、逃げる「デイブ」。
司令官と女性クルーが外へ追い出されてしまう。

復活

が、再び「デイブ」に乗り込む司令官と女性クルー。

しかしオーブは海に落ちてしまった。
オーブを回収するには故郷へ戻る分のエネルギーを使わなければならない。
司令官とクルーたちは自らを「デイブ」と名乗り、オーブを回収する。

宝を持って帰還

デイブは宇宙船画像引用元:ⓒ 20th Century Fox Home Entertainment

ジョシュの機転によりエネルギーを得たデイブ。ジーナたちの前に姿を現し、感謝し、別れを告げる。
友情、勇気、愛などの感情・音楽などの文化を手に入れ、故郷に帰っていく。

「デイブは宇宙船」のテーマ

ニル星人たちは故郷を救うエネルギー源の塩を得るために地球にやってきましたが、ジーナ筆頭に人間たちから様々なものを学び、彼らはそれよりも大切なものを手に入れて帰って行きました。

人類は素行も悪く環境問題や戦争、貧困格差など沢山の問題を抱えています。

が、それでも

 

人の素晴らしいところはどこか?

 

 

を再認識できる映画だと思います。

『デイブは宇宙船』をさらに詳しく

「ヒーローズ・ジャーニー」ともう一つ大切な要素「三幕構成」について詳しくしてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
はるか彼方から飛んできた隕石が衛星に当たり、地球に落ちてくる。
国防総省は電話をしていて気づかない。

天体望遠鏡で空を見ていたジョシュの部屋に落ちてくる。
隕石は金魚鉢の中に。
ジョシュの母・ジーナが野球ボールと勘違いし、外にいる子どもに叫ぶ。
隕石と話すが、ジーナはジョシュを心配し、話を真に受けない。
隕石は金魚鉢の水を吸い尽くす。

宇宙人が主人公の映画なので、宇宙のシーンから始まります。
衛星に当たる音と隕石がジョシュの部屋を跳ね返る様子で、コメディ映画とわかります。

国防省が電話をしているから気づかないわけがありませんが、これが映画の世界観です。

最初は流石に現実と比べてしまいますが、映画の世界観に矛盾がなければ、観ていくにつれて違和感がなくなっていきます。

そして最後に、隕石の不思議な力を見せてなにか重要なものだと印象付けます。

続くシーンで、宇宙船「デイブ」が地球にやってきます。

落ちる場所はどこでもいいのですが、ラストと同じリバティー島に落ち、クライマックスの舞台をあらかじめ見せています。

そしてジーナとの交通事故に遭い、ニル星人が登場。そのまま宇宙船「デイブ」の構造を説明していきます。
さらに司令官の演説で彼らの目的が、そして固有の名前を持たず、番号で呼び合っていることもわかります。

宇宙船「デイブ」という壮大な嘘ですが、ディテールを細かく設定することで、リアリティが増していきます。
そしてここでも、最後に彼らは地球が滅んでもやむをえないと考えており、危険な存在だと印象付けます。

司令官が主人公なため、普通の映画ならば冒頭から出てくるものですが、「小さい宇宙人」「宇宙船デイブ」の驚きを作るためにここまであえて伏せています。

宇宙船がエディマーフィの顔のためそれもあまり気になりません。

ジーナと再会し、朝食を誘われます。

この映画の賢者は人間であり、ジーナはその象徴の存在として描かれ、もっとも重要な「愛」について彼らは学びます。

コメディ映画なので、見に来た観客たちは笑いに来たのです。笑わせなければなりません。
なのでたくさんのボケがあり、それらは映画のお楽しみのシーンです。

また、とてもシンプルなストーリーなので、ボケのシーンを使ってターニングポイントが適切な時間になるように調節していると思います。

第一ターニングポイントはジョシュがオーブを持っている、とわかることです。

第二幕

人間の文化に触れて困惑するお楽しみを描くと同時に、ニル星人たちが変化していきます。
そして警官のドューリーがデイブを追いかけます。

白いスーツからオールドネイビーの服に衣装が変わることも面白いです。
最初は注目されないように着替えていますが、ニル星人から地球人に変化していくことを表しています。

デイブはまた、ジョシュにとっての賢者として役割を持っています。

父親を失った家族。
そのグループに入ったデイブがどういう意味を持つことができるのか考えていますね。

「デイブ」の中では、2番と司令官の考えにずれが生じ始め、3番とのラブストーリーが発展していきます。

そしてオーブを手に入れます。

リッチのくだりはあまり意味を持ちません。リッチの復讐やリッチの両親などが登場する必要があったと思います。
また、マークもジーナを守るようにデイブに迫りますが、その後も活躍する機会はないので、これも意味がないと思います。

そしてデイブはキューバ料理店でドゥーリーに捕まります。
祭りで「余計なこと」をしてしまったために、状況が悪化してしまいました。

第三幕

2番の反乱によってデイブが乗っ取られ事態はさらに悪化し、内側と外側から司令官を追いつめていきます。
警察も、もっと脅威になる存在にしたほうがよかったと思います。

デイブは白いスーツ姿に戻り、攻撃を始めます。
地球人に近づいていたのですが、再びニル星人となってしまったのです。

外に追い出された司令官と3番の冒険は、小さい身体ならではのお楽しみのシーンですね。

しかしオーブは海に落ちてしまい、地球を救うか自分たちの故郷を捨てるかの究極の2択を責められます。

ここで司令官のみならず、クルー達が「私はデイブ・ミン・チャン」と叫び、地球を救うことを選びます。

名前を持たない彼らに自己が生まれたのです。

冒頭、彼らは機械のような組織だともっと印象付けてもよかったかな、と思います。

しかしジョシュの機転により、再びエネルギーを得ます。
ジョシュとのこれまで築きあげた絆が彼らを救いました。

最後まで警察・FBIが障害になりますが、ニル星人は無事に故郷に帰っていきます。

そして司令官と3番はキスをして、映画が終わります。

エンドロールも新しい国歌として最後まで楽しませてくれます。

さいごに

塩を手に入れなかったけど、故郷は大丈夫かな?とは思いますが、笑えて面白く、人にとって大切なことを再認識してくれる映画でした。

次回は『ノッティング・ヒルの恋人』を研究しようと思います。

 

– fin –

 

ABOUT ME
akira
akira
1990年生まれ。SNSとは無縁の人。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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