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映画『キューティ・ブロンド』の解説(ネタバレ有)おバカな映画と思わせて……服装が示す勝利の物語

キューティ・ブロンド

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第19回の movie labo は『キューティ・ブロンド』です。

キューティ・ブロンド画像引用元:ⓒ メトロ・ゴールドウィン・メイヤー

2001年公開のコメディ映画。監督ロバート・ルケティック。脚本カレン・マックラー・ラッツ、キルステン・スミス。

来年には『キューティ・ブロンド3』が公開される人気シリーズ。(調べると「キューティ・ブロンド3」と出てきますが、あれは邦題でスピンオフ作品です)

エルを演じたリース・ウィザースプーンはこの作品の大ヒットで一躍スターに。ギャラが5倍になったそうです。

映画『キューティ・ブロンド』のヒーローズ・ジャーニー

まずはヒーローズ・ジャーニーを見てみましょう。
「ヒーローズ・ジャーニーって何?」いう方はこちらの記事をどうぞ!!

ヒーローズ・ジャーニー
『ヒーローズ・ジャーニー』とは。映画研究の準備 こんにちは。 akira(@akira_movielabo)です。 今回の『movie labo』は前回に引き続き導入編です。...

日常世界

キューティ・ブロンド画像引用元:ⓒ メトロ・ゴールドウィン・メイヤー

典型的なブロンドガールのエル。
名家に生まれ、政治家志望でイケメン男・ワーナーからのプロポーズかと思いきや、「妻にブロンドはまずい」と捨てられてしまう。

冒険への誘い

落ち込むエル。
ワーナーの兄の結婚相手はロースクールで出会った女性と知る。ワーナーもこういう女性を求めていると思い、ワーナーと同じハーバード大の法科に入ると決める。

冒険の拒否/賢者との出会い

両親にも別世界と言われ、先生にも理解はされない。
しかしエルのやる気は十分だ。

戸口の通過

キューティ・ブロンド画像引用元:ⓒ メトロ・ゴールドウィン・メイヤー

猛勉強するエル。ビデオ論文を提出し、筆記試験もクリアする。
ハーバード大は入学を許可する。

試練、仲間、敵

ハーバード大に入学するエル。周囲からは好奇の目。

ワーナーもエルの入学に驚いている。
しかしストロムウェル教授の授業には追い出され、ワーナーにはヴィヴィアンというフィアンセが出来ていた。

ショックを受けるエル。

最も危険な場所への接近

さらにヴィヴィアンに騙されて大恥をかくエル。

「優秀な生徒には実際の裁判に参加させる」とキャラハン教授は言っているが、ワーナーは「エルには無理だ」と話す。

見くびるなと怒るエル。再び猛勉強を始める。

最大の試練

授業でも良い回答が出来るようになってきたエル。

友達になったポーレットを助けることで、弁護士の素晴らしさを実感する。
そしてヴィヴィアン、ワーナーとともにキャラハンの実習生徒に選ばれる。

報酬

良き先輩だと思っていたエメットは優秀な弁護士で、エルらとともに事件に取り掛かる。

夫殺しの事件。
エルの尊敬する先輩・ブルックが容疑者だが、エルは無実だと信じている。

ブルックの信頼を得て、事件のアリバイを知るエル。裁判でもエルのひらめきによって有利に進む。

しかしキャラハンがエルに言い寄り、それを見てしまったヴィヴィアンにも罵られる。
エルはブロンドの偏見に絶望し、エメットに辞めると話す。

帰路

ポーレットに別れを告げるエル。
しかしストロムウェル教授がエルのやる気に火をつける。

復活

キューティ・ブロンド画像引用元:ⓒ メトロ・ゴールドウィン・メイヤー

ブルックはキャラハンをクビにし、エルを弁護士として雇う。
そしてエルは真犯人を暴き、ブルックの無罪を勝ち取る。

ワーナーが「見直した」と愛の告白をするが、きっぱりと断るエル。

宝を持って帰還

キューティ・ブロンド画像引用元:ⓒ メトロ・ゴールドウィン・メイヤー

卒業式。
首席で卒業するエル。エルは情熱と自分を信じることで未来を開いた。弁護士事務所に内定し、今夜エメットはプロポーズする予定だ。

映画『キューティ・ブロンド』のテーマ

冒頭、ワーナーにフラれる。後半、キャラハンに口説かれる。
どちらもブロンドという偏見をもとに作られた試練です。

しかしエルは立ち上がります。

 

自分を信じる

 

おバカと思われたエルというキャラクターは、何よりも大切なことを知っているのです。

 

映画『キューティ・ブロンド』をもっと詳しく

「ヒーローズ・ジャーニー」ともう一つ大切な要素「三幕構成」を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
軽快な歌とともに、この映画の看板となるブロンドヘアー。
典型的なブロンドガール・エルの身だしなみや小道具、環境が映像だけで説明されていき、最後に手紙。
後の展開のプロポーズへと続きます。

同時に周囲からの人望があることもわかりますね。イメージカラーはもちろんピンクです。
続くドレスを買うシーン。
店員も知らない知識を披露することで、エルは筋金入りのブロンドガールとわかります。そして賢い。

面白いキャラクターですが、幸せそうで順風満帆。反感を持つ人もいるでしょう。

そこへワーナーに捨てられるという事件が起こる。
主人公に最も辛い出来事をさせることで、観客に同情心を呼び起こします。

 

ここでワーナーが常に周囲の目を気にしているところも面白いです。彼の生き方は他人にどう思われるかであり、エルとは真逆の性質であると素振りだけで説明しています。

ここまで10分。
エルという主人公に同情させて共感を得る。そしてワーナーとの恋という内的のストーリーが説明されています。

その後、ワーナーの車に送ってもらうエル。
まだワーナーに頼ってしまう弱さがエルにはあります。

ワーナーに認めてもらう女性になるために、ワーナーと同じロースクールに入るとエルは決意する。ここから外的なストーリーが始まりです。

エルの中にある情熱。
これが「賢者」の役割になっています。

試験をクリアし、ハーバード大のロースクールに入学。これが第一ターニングポイントです。

試験クリアの喜びようはまるでエンディング。
ここから本当のストーリーが始まりますが、第一幕はそのための説明だけの時間ではありません。

第一幕の中でも「ハーバード大に入学する」というストーリー・明確な目標があるからこそ、すでに面白く、映画の世界に引き込まれるのです。

第二幕

典型的なブロンドガールが、天才ばかりのハーバード大ロースクールへ。
全く場違いの世界とエルの個性の対比が中盤まで描かれていきます。

初めての授業に向かうエル。服装にも気合が入っています。
が、少し力んでいるようにも見えます。伊達メガネがその象徴です。

ヴィヴィアンという新しいフィアンセからワーナーを奪うため、セクシーな服やお菓子でアプローチするエル。
まだブロンドガールのままで戦っていますが、この世界には通用しません。

ネイルサロンのシーン。
前のシーンでエルはヴィヴィアンに嫌味を言われていましたが、エルはヴィヴィアンを侮辱するようなことは言いません。

しかしその後の図書室のシーンでは、ヴィヴィアンに皮肉を言ってしまいます。
エルが精神的に徐々に崩れていることを表しています。

そんなエルを助けるのは、お互いに助け合うポーレットと本当は弁護士のエメット。
第二幕は二人のおかげでエルは前進していきます。

そして中盤。
仮装パーティと騙されて大恥をかいたエル。
さらにワーナーにもバカにされたことで、エルは再び本気を出して勉強します。

ハーバード大の入学から、ハーバード大のトップへと向かう二段階目のスタートです。

ポーレットの飼い犬を取り戻すことで、エルは弁護士に生きがいを見出します。
ですがこのシーンでもエルは伊達メガネをかけています。
会話の中身もでまかせで、まだエルは背伸びをしていることを表しています。

しかしエルは猛勉強の末に、裁判の実習生に選ばれました。後半は実際の裁判所が戦いの場になります。

エルは弁護士事務所では典型的な黒のスーツを着ています。
「弁護士」らしくはなりましたが、実は真面目なフリをしており、本来のエルではありません。

ここでも、人を信用せず裁判に有利になるならばなんでもやる弁護士の世界と、「運動するとハッピーになつから無実」「秘密の約束は絶対に守る」「デルタヌウがTバックと寝ない」というエルの世界の倫理がぶつかり合います。

その中でも頑張るエルですが、キャラハンの口説きとヴィヴィアンの思い込みにより、再びブロンドの偏見に絶望させられます。

ストロムウェル教授の励まし、エメットの作戦により、エルが正式に弁護士として雇われる。これが第二ターニングポイントです。

ストロムウェル教授の伏線回収はやられましたね。

第三幕

裁判所に現れたエルは、ピンクのスーツ?を着ています。
この姿こそがブロンドガールと弁護士が交差して生まれた新しいエルです。

そして同じように、女性の知識と弁護士のテクニックで真犯人を暴き、ブルックの無実を勝ち取る。
さらに再度プロポーズをしてきたワーナーをフることで、彼女は内的なゴールを成し遂げます。
冒険を通じて、ちんけな男よりもネグリジェのモデルよりも大切な生きがいを見つけたのです。

ラストシーンは卒業式。
首席で卒業するエル。序盤はワーナーのプロポーズ、最後はエメットのプロポーズを予告して終わります。

さいごに

映画において服装や持ち物はそのキャラクターの個性や変化を表すとても重要な要素です。

典型的なブロンドガールとハーバード大のロースクール。
正反対の二つが交わり、新しい境地へと向かう。素晴らしいアイディアと構成、普遍的なテーマ。そしてリース・ウィザースプーンがとても魅力的にエルを演じたからこそ、大ヒットにつながりました。

次回はしばらくお休みして、11月末ごろに再開します。
どんでん返しで有名な『ユージュアル・サスぺクツ』を研究します。

– fin –

ABOUT ME
akira
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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