映画

映画『インビクタス 負けざる者たち』の解説(ネタバレ有)演説・歌・詩……「言葉」が与えた大きな力

映画 スポーツ

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第18回の movie labo は『インビクタス 負けざる者たち』です。

ラグビー 映画画像引用元:ⓒ Warner bros

2009年公開のスポーツ映画。監督クリント・イーストウッド、脚本アンソニー・ペッカム。

ペッカムは南アフリカ出身で、アパルトヘイトに反感を持った彼はアメリカに渡り、映画を学んだそうです。

今なお終わらない人種差別問題ですが、それを乗り越える人々を本作は描いています。

映画『インビクタス 負けざる者たち』のヒーローズ・ジャーニー

まずはヒーローズ・ジャーニーを見てみましょう。
「ヒーローズ・ジャーニーって何?」いう方はこちらの記事をどうぞ!!

ヒーローズ・ジャーニー
『ヒーローズ・ジャーニー』とは。映画研究の準備 こんにちは。 akira(@akira_movielabo)です。 今回の『movie labo』は前回に引き続き導入編です。...

日常世界

アパルトヘイトが行われていた南アフリカ。
27年間獄中生活をしていたネルソンマンデラが釈放される。

冒険への誘い

映画 スポーツ画像引用元:ⓒ Warner bros

その後アパルトヘイトは撤廃。
南アフリカ初の全人種選挙が行われ、マンデラが大統領に就任する。

冒険の拒否

大統領就任翌日の新聞の一面には、マンデラを疑問視する記事。国民の不安も理解するマンデラ。

賢者との出会い

大統領官邸に入るマンデラ。白人という理由でクビを恐れていた職員らに協力を求める。

戸口の通過

映画 スポーツ画像引用元:ⓒ Warner bros

来年にラグビーワールドカップが行われるが、代表チームは弱体化している。

スポーツ議会ではラグビー代表のユニフォーム・カラー・エンブレムの変更が決めるが、マンデラは撤回を求め、僅差で存続が決まる。

試練、仲間、敵

アフリカの犯罪率が上がっている報道。
主将のフランソワ率いるラグビー代表は結果を出せずに苦しむ。

最も危険な場所への接近

フランソワがマンデラにお茶に誘われる。

最大の試練

映画 スポーツ画像引用元:ⓒ Warner bros

マンデラに会うフランソワ。指導者としての哲学を語るマンデラ。

報酬

ワールドカップ優勝を求められていると感じるフランソワ。
アパルトヘイトの象徴とされ、黒人から人気のないラグビー。フランソワら代表はPRも兼ねて黒人の子供たちにラグビーを教える。

帰路

ワールドカップが開幕。
下馬評を覆し決勝へ駒を進める代表チーム。代表らはマンデラの収容されていた刑務所を訪れ、フランソワはマンデラの赦しの心を考える。決勝の相手は世界最強のオールブラックスに決まる。

復活

映画 スポーツ画像引用元:ⓒ Warner bros

決勝戦。
一進一退の試合。国中が試合を見守る。そして勝利するフランソワたち。

宝を持って帰還

マンデラが会場から帰っていく。人種を超え、国中が勝利に喜んでいる。

映画『インビクタス 負けざる者たち』のテーマ

マンデラは劇中とラストシーンで「インビクタス」という詩の一節を読み上げます。

「我が運命を決めるのは我なり、我が魂を制するのは我なり」

つまり、

どんな困難があろうとも
それに負けない心があれば乗り越えられる

 

マンデラはそれを信念に人種差別へと挑み、フランソワは世界最強のオールブラックスと闘います。

映画『インビクタス 負けざる者たち』をさらに詳しく

「ヒーローズ・ジャーニー」ともう一つ大切な要素「三幕構成」を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
南アフリカの応援歌とともに、芝生で練習するフランソワらスプリングボグス。柵と道の向こうでは、貧しい黒人の子供たちがサッカーをしている。

その間の道を進む釈放されたネルソンマンデラ。
喜ぶ子供たちと、見つめるフランソワたち。白人のコーチは国の終わりだと嘆く。

黒人と白人、整備されていない土と芝生、サッカーとラグビーと対比するように配置され、同時にこの映画は人種差別とラグビーを扱った物語だと提示しています。

その中央にマンデラが進むことで、マンデラは2つを繋ぐ存在だと表しています

マンデラが官邸職員に語るシーン。
大統領は国民をより良い未来に導く存在。

そして最も必要な力は、人の心を動かす「演説」です。
このシーンはマンデラの最も強い武器と、周囲の人々の信頼を得る主人公を表しています。

警護班リーダーのジェイソンが白人の配属に怒りますが、マンデラの意見を聞き受け入れる。
このシーンも同様に、マンデラへの信頼を描いています。

そしてそれらのシーンは、同時に観客からの信頼を得る効果ももたらしています。

黒人と白人が混在する警護班は人種差別を象徴するグループ。その関係の変化を描くことで問題の解消を説明しています。

マンデラの訴えにより、スプリングボクスのカラーなどが存続する。
これが第1ターニングポイントです。

 

第二幕

マンデラとフランソワのお茶会のシーン。
マンデラは直接的にラグビーの話題は出さず、指導者としての哲学、マンデラの過去を話します。

刑務所の中では「インビクタス」の「詩」と出会い、バルセロナオリンピックに招待されたマンデラは、「国歌」を聴いて国に尽くすことを決めました。

フランソワはお茶会直後からワールドカップ優勝とともに、スプリングボクスにも変化を促していきます。

マンデラは妻と娘と離れて暮らし、妻からは拒絶されているようです。
そしてそれが解決されることはありません。
彼の負の面でもあり、しかしそれを捨ててまでもマンデラは国を導こうとしています。

スプリングボクスは決勝へと進む。これが第2ターニングポイントです。

第三幕

30分の時間を使ってたっぷりと決勝を描きます。

逆にいえば、まともにプレーするシーンはここしかなく、フォーメーションや戦術などの説明はありません。

スポーツ映画において、求められるものはプレーではなくドラマ
専門的な技術や作戦などは不要なのです。キックで何点入る、どちらがリードしている、キックが入れば勝てる。これだけで良いのです。

冒頭の新聞配達の車、マンデラが倒れる、飛行機の応援など、サスペンスのあるシーンを要所要所に織り交ぜて、飽きないようにさせています。

そしてスプリングボクスは勝利。

マンデラが変えた国がフランソワに力を与え、フランソワは優勝し国に誇りをもたらしました。

さいごに

ラストシーン、マンデラのナレーションでインビクタスの一文が読まれます。

マンデラは刑務所でインビクタスという「詩」と出会い、バルセロナオリンピックで「国歌」を聴いて国に尽くすと決め、大統領になって「演説」をして国を導きます。

スプリングボクスと国民は「国歌」を歌い、優勝しました。

「言葉」が人種の壁を超え、実力以上の力を引き出したのです。

次回はコメディ映画の『キューティ・ブロンド』を研究します!

キューティ・ブロンド
映画『キューティ・ブロンド』の解説(ネタバレ有)おバカな映画と思わせて……服装が示す勝利の物語 こんにちは。 akira(@akira_movielabo)です。 第19回の movie labo は『キューティ・ブロンド...

– fin –

ABOUT ME
akira
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
動画も配信中

週末の観たいオススメ映画を
Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラムさんで紹介しています!!
スキマ時間のオトモに

YouTubeへ

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA