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映画『わが谷は緑なりき』の解説(ネタバレ有)たとえ辛い人生でも、人は魂を忘れてはならない。

わが谷は緑なりき

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第69回movie laboは『わが谷は緑なりき』。

1941年公開のドラマ映画。監督ジョン・フォード、脚本フィリップ・ダン。118分。

原作はリチャード・レウェリンの​​​​​​『How Green Was My Valley』。

第14回アカデミー賞にて、最優秀作品賞・監督賞・助演男優賞・撮影賞・美術賞・室内装置賞を受賞しました。ジョン・フォードはアカデミー賞で監督賞を最多の4回受賞している巨匠ですね。

映画『わが谷は緑なりき』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

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日常世界

ウェールズの鉱山町に住むモーガン一家。父を筆頭に男たちは皆鉱山で働いている。

賢者との出会い

兄・イヴォールとブロンが結婚。新しくやってきた牧師のグリュフォードに姉・アンハードは惹かれる。

冒険への誘い

鉱山主から賃金が下がると知らされる。

冒険の拒否

息子たちは組合を作ろうとするが対立する父。

戸口の通過

組合を作るため家を出ていく息子たち。

試練、仲間、敵

労働者たちはストライキを始める。ヒューと母は事故でしばらく療養生活を始める。

鉱山は再開したものの、労働者が多すぎて働けないものも出てきた。二人の息子がアメリカへと旅立っていく。

最も危険な場所への接近

鉱山主の息子からアンハードに縁談がくる。アンハードはグリュフォードに恋していたが、グリュフォードは神父に人生を捧げたと断る。

最大の試練

鉱山主の息子と結婚するアンハード。

報酬

学校へ通い始めるヒュー。

帰路

イヴォールが仕事中の事故で亡くなってしまう。鉱山で働き始めたヒューは悲しむブロンを思いやりともに生活を始める。残っていた息子たちも鉱山をクビになり、アメリカへと去っていく。

復活

アンハードが戻ってきたがグリュフォードとの噂がたってしまい、グリュフォードは町をさらなければならなくなる。鉱山で落盤事故が起き、父は亡くなってしまう。

宝を持って帰還

父や谷での思い出は今でも鮮明に覚えているヒュー。

映画『わが谷は緑なりき』のテーマ

グリュフォードがヒューを連れて山を登るシーンでグリュフォードがヒューにテーマを語りかけます。

辛いことがあっても、魂を磨き続けることが大事

これがテーマです。

一時期歩くことができないほど衰弱したヒューでしたが、そのおかげで魂を見つける時間が与えられたとグリュフォードは肯定的にとらえます。毎日働いてその日その日を生きているこの時代の労働者にはとてもそんな時間は作れないのでしょう。

そしてこの後も厳しい世の中が続き大半の谷の人々は心が荒んでしまいますが、魂を磨きつづけたヒューは人としての道を外すことなく立派に生きていきます。

辛い人生か幸せな人生だったのかは、自分で作り上げるものなのです。

映画『わが谷は緑なりき』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
谷を去っていくヒューのナレーションで、自分の幼少期を思い出す。

大人になった主人公が過去を思い出す形で本編に入っていく導入は他の映画でもよく見る手法ですね。大人の観客は自らの子ども時代を思い出すように映画を観る、若い観客は今の自分達に重ねながら映画を観る、という風に感じながら物語の中に入ることができます。

観客に思い出を語る体なので、その後もナレーションが続きますが全く気になりません。

幼少期の最初のシーンは家族の象徴でドラマの軸でもある父との散歩から始まります。

賃金の支払いで家族を紹介し、同時に賃金下落の伏線にもなっています。そして帰り道の歌。歌や音楽は作中の世界にとってもこの作品にとってもとても大きな存在ですね。

夕食のシーン。セリフがなくてもわかる食事のルール、父が肉を切り分ける、母は最後に食べ始め最初に食べ終わる。短い説明でもこの家族のイメージがすぐに湧きますね。

結婚式後の家での宴会シーンで、牧師が谷の中でどういう存在なのか説明しています。集団と個人の対比ですね。

幸せなシーンの直後、賃金が下がるという出来事で落差をつけています。

夕食での口論。ルールを破るほどの家族の一大事であり普段の夕食シーンも描かれていたために対比でよりことの重大さを感じます。息子たちは父や家族・谷を思っての怒りであり、父もまたストライキが起きたらどうなるかわかっているので対立してしまいます。どちらも正しく、どちらもこれから大きな困難がやってくると予感させます。作法より現実を見る。逆説的なセリフで映画のテーマを表しています。

最後のヒューの行為は、ヒューはまだ子どもであるとともに父の優しさも描いています。

息子たちが去り、ストライキが始まる。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

ストライキが始まり、母とヒューに予期せぬ事故まで起きてしまうモーガン家。

しかし不幸なことは必ずしも悪いことだけをもたらす訳ではない。そういうことをこの映画は伝えてくれます。ヒューはグリュフォードから本をもらい、大きな影響を与えます。

ウィンザー城に呼ばれ、喜び歌う男たち。その後ろで去っていく二人の息子。セリフを使わず、実に映画的な表現ですね。

サブストーリーとしてアンハードとグリュフォードの恋愛、女性に対する宗教上の厳しい観念も盛り込んで描いています。アンハードとグリュフォードのキスシーンは絵画のような美しさですね。アンハードの結婚式を見届けるグリュフォードのシルエットも美しい。それらの美しさは悲しみが背景に描かれているからなのでしょう。

喧嘩したヒューに対し傷にお小遣いを渡そうとする父のリアクションはキャラクターが出ていて面白いですね。

警報がなり、イヴァールが亡くなってしまう。炭鉱は危険な仕事であると思い出させるとともに、警報がなる事は不吉な報せ、ラストの父の事故の伏線にもなっています。

ヒューはブロンの家に住み、炭鉱で働き始める。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

残っていた二人の息子たちもアメリカへ旅立っていく。去っていく息子たちに父が詩を読むシーン。このシーンもキャラクターの配置がとても美しいです。

母が女性禁止の集会に向かったように、今度はヒューが家族の出ない教会での集会に向かいます。ヒューはもはや子どもではありません。

グリュフォードがヒューに聖職者になったときに父からもらった時計を渡しますが、この行為からグリュフォードは谷を去ったら聖職者を辞めるつもりではないかと思います。

そして警報が鳴り、父が事故で亡くなってしまう。このタイミングでグリュフォードとアンハードを会わせるのは凄いですね。

父の死・母の語り・エレベーターで上がってくるヒュー・グリュフォード・父の姿。どれも凄いシーンです。

谷の思い出を振り返るヒュー。モノクロな映像ですが、鮮明に美しい自然が見えてきます。

さいごに

家族の壮絶な一時代を描いた骨太なストーリー、美しいシーンたち。素晴らしく、まさに名作な映画でした。ブログの中では名前ではなく父、母と呼びましたが、この家族はまるで寓話のような家族の象徴と捉えたのであえてそう使ってみました。

次回は『Primeビデオ』『U-NEXT』で配信中、サンドラ・ブロック主演の『デンジャラス・ビューティー』を研究します!

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1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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