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映画『ダーティ・ダンシング』の解説(ネタバレ有)「踊る」という「闘い」

ダーティ・ダンシング

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第51回の movie laboU-NEXTで配信中のダーティ・ダンシング』。

1987年公開の青春恋愛映画。監督エミール・アルドリーノ、脚本エレノア・バーグスタイン。
101分。

劇中にある『タイム・オブ・マイ・ライフ』はゴールデングローブ賞、アカデミー歌曲賞、グラミー賞最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞。

またイギリスの新聞記事では、『これまで最も引用された恋愛映画』第1位、『最も葬式で流れたポピュラー・ソング』第3位になったようです。

エディを演じたマリア・ベロ、リッチーを演じたウィリアム・ハートなど、脇役たちの評価もとても高い作品です。

映画『ダーティ・ダンシング』ヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

ダーティ・ダンシング』は、『U-NEXT』で無料視聴ができます。

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※この記事の情報は、2021年8月時点のものです。
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日常世界

休暇でケラーマンにやってきたベイビー一家。
ベイビーはまだ恋を知らない。

冒険への誘い

従業員宿舎に忍び込むベイビー。従業員らが思い思いにダンスを踊っている。

冒険の拒否/賢者との出会い

ダンサー講師のジョニーに紹介してもらうベイビー。
一目惚れしたベイビーだが、緊張してつまらない会話をしてしまう。ジョニーがダンスに誘い一緒に踊るが、ジョニーはベイビーに興味はない。

戸口の通過

ダンスでジョニーの相手をしていたペニーに妊娠が発覚する。中絶には大金が必要だ。
ベイビーは父で医師のジェイクにお金を借りる。しかし金を受け取らないペニー。手術の日は別のホテルでダンスをしなければならず、それを断ったら来年の仕事がなくなってしまう。
ペニーの代わりにベイビーが踊ることになる。

試練、仲間、敵

ジョニーとともにダンスの猛練習をするベイビー。

最も危険な場所への接近

徐々にベイビーとジョニーの関係が近づいていく。
家族に内緒でダンス会場に向かうベイビー。ペニーは手術が怖く、ベイビーが励ます。

最大の試練

ダンスを披露するベイビーたち。リフトは失敗したが、なんとかやり遂げた。
ペニーはヤミ医者の麻酔なしの手術をされ、苦しんでいる。ベイビーはジェイクを連れてくる。ジョニーが相手だと嘘をつき、ジェイクは怒る。ベイビーに二度とか彼らに関わるなと忠告するジェイク。

報酬

その夜。ベイビーとジェニーは踊り、愛し合う。
お互いに社会の不平等や家族の縦関係の壁から逃げていると自覚し、戦い始める。

帰路

ジョニーとベイビーの関係を知ったジョニーの客の策略でジョニーはクビになってしまう。
去って行くジョニー。

復活

最終日のショー。
ジョニーが戻ってきて、ベイビーとともに思いっきり踊る。客も巻き込み、大盛り上がりになる。

宝を持って帰還

ペニーの相手がジョニーでないと知り、謝るジェイク。ベイビーとジョニーがキスをする。

映画『ダーティ・ダンシング』のテーマ

ジョニーと出会い、初恋をするベイビー。
愛はこの世の光の要素です。

女遊びをしている高学歴のロビー、ホテルのオーナーで支配的なマックス、ダンスレッスンの客でジョニーで遊んでいたヴィヴィアン、財布泥棒のシュマッカー夫婦など、登場人物たちは皆世の中を闇を持っています。

青春とは世界が広がること。

世界が広がるというのは、
世界の光と闇を知ること。
そしてそれを知った上で何をするのか

それが本作のテーマです。

ベイビーとジョニーは踊ることで世の中に戦っていきます。

映画『ダーティ・ダンシング』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
踊っている若者たち。ラジオのMC。ケラーマンに向かうベイビー一家。
ダンスがモチーフの映画なので、音楽とダンスで始まります。
ベイビーのナレーションで初めての恋をすることをあらかじめ説明し、観客に恋愛と青春の映画だと認識させます。
大人になったベイビーが過去を振り返る語り口によって、ベイビーと同年代の観客は同じような恋愛がしたいと思い、それ以上の年代の観客は過去を懐かしむ、こんな恋愛がしたかったなどを感じさせますね。
車から降りたリサとそれぞれの会話でキャラの世界観がわかりますね。
オーナーのマックスとの会話で父・ジェイクは医師、久々の休暇、3週間の滞在など細かいことをあっさりと説明していきます。

続いてペニーのレッスン。
ダンスレッスンを体験できると同時にペニーとシューマッハ夫婦も見せています。
ジョニーへの注意を盗み見るベイビー。オーナーはダンサーに厳しく、ダンサーが恋愛することはケラーマンでは禁止だということをはっきりさせます。

その夜になりニールが登場、ベイビーはダンスが出来ない、リサとロビーも一緒にダンス、そしてジョニーとペニーがダンスを魅せます。が、オーナーの指示でダンスですら思うようにさせてもらえません。
かなり抑圧された世界にジョニーたちはいます。

従業員宿舎に向かうベイビー。そこでは皆が鬱憤を晴らすように自由に踊っている。ケラーマンの裏の世界へと入っていきます。

ジョニーと会うベイビー。視線やつまらない会話の後悔でベイビーが恋していることが伝わりますね。二人は一緒に踊りますがあっさりと置いていかれる。
セリフがなくてもジョニーはベイビーに興味がないことがわかります。

湖畔でのシーンでジョニーとペニーは今は恋人ではない。ペニーの呆れた笑いでダンスしかない人生で決して望んだわけではないことがわかります。

その夜のシーンでジョニーは客の遊び相手になっていることも説明。
素晴らしい踊りをするダンサーたちの現実をベイビーは知っていきます。

号泣しているペニーをベイビーが見つけることで物語が一気に進んでいきます。

妊娠しているペニー、中絶には大金が必要。金なら上流階級のベイビーには用意できますが、手術当日には大事なダンスのショーがある。ダンスの代わりはもちろん金で買えません。

ベイビーがペニーの代わりに踊ることになり、ダンスの猛練習を始める。これが第一ターニングポイントです。

ロビーが見せてきた小説『水源』は、1943年にアイン・ランド最初のベストセラー小説で、描かれているレイプシーンが最も議論されており、反フェミニズムの象徴するシーンと言われています。

ロビーが愛読している。
つまりそういう思想の持ち主だ、ということですね。

第二幕

ダンスの練習の点描。
足元だけや鏡越し、一人の練習、ペニーも一緒など色々なパターンで描かれていて面白いですね。

ケラーマンから出て二人だけの練習。ダンスの上達とともにベイビーとジョニーの関係も強くなっていきます。
ダンスという外的な物語とジョニーとの恋愛の内的な物語がリンクしていてシンプルかつ綺麗ですね。

映画の真ん中のあたりで、物語が大きく変わるダンスショー当日。
ダンスショーではリフトは失敗したものの、とりあえず成功しました。
これでジョニーとの関係は終わりかと思いきや、ペニーの悪質な手術にジェイクがジョニーとの会うなとの警告。

しかしベイビーはジョニーに会いにいき、二人はケラーマンでも禁止のダンサーと客、ジェイクにも認められない恋人となってしまいます。恋愛映画は禁じられた恋が鉄板ですよね。

ジェイクに認められないことにするにはジェイクがジョニーを嫌いにならないといけませんが、観客はジョニーを好意的に思わなければ二人の恋を応援するつもりになりません。

ジェイクが単なる金持ちではなく医師にした設定とジョニーのキャラでつきそうな嘘がこの問題を解決しています。

ささやかなサブストーリーとしてリサの物語(ロビーとの恋とベイビーとの間、家族内の関係)も描かれています。
おそらく初恋であるリサもまた、ロビーに裏切られることで成長します。

二幕の後半。
愛を育む二人ですが、ジョニーは権力者に支配されるダンサーの世界に対して、ベイビーも父親に対して戦い始めます。

ジョニーは遊ばれていた女性客のビビアンのレッスンを断る。つまりジョニーが戦い始めるシーンですが、その緊張感とは真逆の場違いのようにリサが歌っていて面白いですね。

しかしそんな簡単に世界は変わらず、ジョニーはクビとなり、ベイビーもジェイクの警告を無視してジョニーと会っていたことがバレ、関係が完全に壊れてしまいます。

ジョニーを庇うためにベイビーが証人となる。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

クビになったジョニーがケラーマンを去っていく。落ち込むベイビー。

最終日のショー。
ジョニーが帰ってきて、ベイビーとともに踊る。リフトの伏線も回収。

二人の最後の戦いは観客をも巻き込み、オーナーでも止められないほどの熱狂となります。

ジェイクもジョニーの嘘を知り、二人のダンスを讃える。

ケラーマンだけの小さな世界ですが、踊ることで二人は世界を変えたのです。

さいごに

単なるラブストーリーではなく、社会全体の不平等も描かれていることでより深い人間ドラマとなりました。
少ないセリフやキャラの動きだけでたくさんのことが伝え、最後は圧巻のダンスシーン。素晴らしい映画でした。

次回はNetflixで配信中のノア・バームバック監督『マリッジ・ストーリー』を研究します。

ABOUT ME
akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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