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映画『ゾンビコップ』の解説(ネタバレ有)これほど『死んでも殺す』が似合う映画はない。

ゾンビコップ

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第67回のmovie laboは『U-NEXT』で配信中の『ゾンビコップ』。

1988年公開のアメリカ映画。
監督マーク・ゴールドブラット、脚本テリー・ブラック。86分。

監督のマーク・ゴールドブラットは監督としては2作品ですが、編集技師として『ターミネーター2』や『アルマゲドン』『X-MEN:ファイナルディシジョン』など多くの作品に参加しています。

ターミネーター2』では第64回アカデミー賞編集賞にノミネートされました。

撮影のロバート・D・イェーマンはウェス・アンダーソン監督のほとんどの作品で撮影監督を勤めています。後々すごい作品を手がける人が集まっていたんですね…原題の『DEAD HEAT』もシャレが効いてます。

映画『ゾンビコップ』のヒーローズ・ジャーニー

それでは、ヒーローズジャーニーを見ながら研究していきましょう。

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ヒーローズジャーニーって何?
という方はこちらの記事をどうぞ!!

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。

ゾンビコップ』は『U-NEXT』で無料視聴ができます。

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※この記事の情報は、2022年2月時点のものです。
最新の配信状況は、『U-NEXT』にてご確認ください。

日常世界

刑事のロジャーとダグ。
近頃撃っても死なない強盗による事件が多発している。今日も事件が起きた。

冒険への誘い/賢者との出会い

犯人の遺体から珍しい薬が検出され、ある製薬会社が最近その薬を大量に購入していたとロジャーの元恋人で検死医レベッカから教えてもらう。

冒険の拒否

製薬会社を訪れるロジャーたち。広報のランディと出会い、会社を案内される。こっそりと潜入し謎の装置を見つけたダグがゾンビに襲われる。ゾンビを倒すが、ロジャーは何者かに殺されてしまう。

戸口の通過

レベッカは装置が蘇生装置だと気付き、ロジャーを生き返らせる。ロジャーの体は死んでいるが、生きている。

試練、仲間、敵

生き返ったもののロジャーの体は12時間しか持たないと告げられる。ロジャーは自分を殺した犯人探しを始め、ランディに会いに向かう。

ランディもまたゾンビに狙われており、仕方なくロジャーたちに協力する。会社は父ローダーミルクのものであり、薬はスールという男に渡したと話す。

最も危険な場所への接近

スールのいるチャイナタウンに向かうロジャーたち。

最大の試練

スールと会うロジャーたち。スールは精肉店に備え付けた装置を動かし、死んだ豚やアヒルたちが動き始めロジャーたちを襲う。装置を壊しゾンビを倒すロジャー。スールは逃げていた。

報酬

店を調べ、イニシャルと日付の書いてある紙を見つけるロジャー。リストは大金持ちの死亡者リストとわかり、ローダーミルクも書いてあった。ダグと二手に分かれて捜査するロジャー。ローダーミルクの墓地で謎の数字を見つけるロジャー。

帰路

ダグと待ち合わせたランディの家に戻ると、ダグが殺されていた。さらにランディも生き返ったゾンビであり、体に限界がきて溶けてしまう。

ロジャーは暗号を解き遺体安置所の博士が犯人だと気づき捕まえようとするが、スールが現れ逆に捕まってしまう。博士はレベッカも殺しており、激怒するロジャー。

復活

脱出し、博士の元に向かうロジャー。博士はローダーミルクを生き返らせ金持ちにプレゼンをしていた。ロジャーが現れると、プレゼンで生き返らせたダグを使い殺そうとする。

ロジャーはダグの正気を取り戻し、博士を殺す。

宝を持って帰還

装置を破壊し、ダグと出会えたことを感謝するロジャー。

映画『ソンビコップ』のテーマ

一度死んでしまったロジャー。
まさか自分が死ぬとは思ってもなかったけれでもあっさりと死に、そして再び得た自分の余命も残りわずか。ロジャーは死を実感し、無力を感じましたが、そんな彼をダグが励まします。

生きているうちに何ができるか

これがテーマです。

死に直面しなければなかなか実感することができないテーマですが、ゾンビというモチーフだから描けるテーマでしたね。

映画『ゾンビコップ』をさらに詳しく

『ヒーローズジャーニー』ともう一つ大切な要素『三幕構成』を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
タイトルと大都市に続いて、武装する強盗が銀行を襲う。

刑事のロジャーとダグに連絡が入り、現場に急行。撃たれても死なない強盗を豪快に倒します。

マスクを被り武装する強盗のあとに宝石店を映すだけで強盗はこの宝石店を襲うんだな、とわかってしまうのが映画のすごいところですね。余計なセリフを使う必要もありません。

派手な銃撃戦で一気に観客を映画に引き込ませます。同時に死なない強盗を実際に見せて説明。そしてロジャーは手荒な真似も厭わない破天荒な刑事とわかります。強盗に突っ込む様も面白いですね。

仕事を続けるためになんとしても強盗を捕まえなくてはならなくなったロジャーたち。第一幕における主人公の動機ですね。

遺体安置所でのシーン。ダグが命日について話しますが、テーマに沿った会話であり二人にとっての命日であることも含まれている面白い雑談で、さらにダグのキャラクターも見せています。レベッカとの短い会話で二人の関係性も説明するのはうまいですね。

さらに強盗は以前検死した死体と、マクナブ博士の登場。多くの情報が詰まっているシーンです。

ロジャーとレベッカの二人のシーンでの動かない水槽。水槽はダグのシーンへの伏線で何度も出てきますね。最後に次のシーンへの手がかりを示します。

一幕のクライマックスにゾンビとの格闘とロジャーの死。

ロジャーを生き返らせる。これが第一ターニングポイントです。

第二幕

ロジャーを復活させるシーンの中でそのままロジャーの体の特徴を説明していてここもうまいですね。レベッカが元恋人でかつ医師というキャラのおかげでドラマを生むと同時に余計なシーンを使うことなく話を早く進ませます。とはいえ悪い情報はシーンを仕切り直して説明していますね。余命12時間というタイムリミットが物語の緊張感を高めています。

自分を殺した犯人を捕まえるという新たな主人公の動機が生まれました。

化粧品もゾンビを使ったユーモアと同時にラストの伏線になっていて流石です。ランディ家でのゾンビとの対決も静と動で緩急をつけ、ロジャーはゾンビを使った戦い方をしていて面白いです。

ゾンビになったロジャーが少しづつ死を実感していく、恐怖を感じていく様もしっかり描いています。

そして精肉店での豚やアヒル、牛が襲ってくるアイディア。最高ですね。

遺体安置所でのシーンの最後にダグの顔。もうダグとは会えないんだな、とわかる人にはわかってしまいますね。ダグの死は勘づかせますが、レベッカとの別れは感じさせません。驚きを強調させるためですね。

マクナブが黒幕だと気づく。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

ダグもランディもレベッカもいなくなり、一人マクナブに挑むロジャー。

ダグとレベッカの死も、シーンで描くことなく裏で進むことつまり省略しているのですごく話が早いですね。これも上映時間が86分たる所以です。

またゾンビならではの救急車からの脱出方法ですが、ゾンビらしくなればなるほどロジャーの決意・覚悟が出ているように思えます。ゾンビ同士の撃ち合いも滑稽で面白いです。

マクナブの自殺にロジャーは許さず、もちろん観客も許しません。この映画ならではの復活させてもう一度殺すというクライマックス、いいですね〜。自分が死んでも殺すし、相手が死んでも殺します。

ラストシーン。最後のロジャーのセリフは深く心を打ちます。

さいごに

ゾンビ事件を追いかけるならまだしも追いかける刑事もゾンビという企画、ゾンビだけでなく食肉用の豚やアヒルも襲ってくる、そしてその造形。全編に渡ってゾンビを生かしたアイディアばかりで一度見たら忘れられない面白い映画でした!

次回はアン・リー監督の『ウエディング・バンケット』を研究します。

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1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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