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映画『マリアンヌ』の解説(ネタバレ有)物語の中で最も悩み、最も強く、最も美しい女性、マリアンヌ

マリアンヌ

こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

第17回の movie labo は『マリアンヌ』です。

マリアンヌ画像引用元:ⓒ Paramount Pictures Corporation

2016年公開の恋愛サスペンス映画。124分。
監督に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ』、今年は『マーウェン』が公開されたロバート・ゼメキス。

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脚本に『イースタン・プロミス』を描いたスティーブン・ナイト。
製作には『ディパーテッド』『復讐捜査線』『ボヘミアン・ラプソディー』に関わったグレアム・キング。

この説明ですでに間違いない作品に思えますが、やはり素晴らしい傑作でした。

戦争時の中で生まれた「愛」を描いた物語。原題は「Allied(連合軍)」という意味ですが、邦題の『マリアンヌ』の方がしっくりきますね。

映画『マリアンヌ』のヒーローズ・ジャーニー

まずはヒーローズ・ジャーニーを見てみましょう。
「ヒーローズ・ジャーニーって何?」いう方はこちらの記事をどうぞ!!

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日常世界

カナダ人工作員のマックスが、作戦のためにモロッコへ潜入する。

冒険への誘い/賢者との出会い

マリアンヌ画像引用元:ⓒ Paramount Pictures Corporation

マックスの妻に扮する工作員・マリアンヌと出会う。2人はナチス・ドイツ要人の暗殺を命じられている。

冒険の拒否

2人とも生存する確率は低い。惹かれあった2人は愛しあい、作戦に向かう。

戸口の通過

マリアンヌ画像引用元:ⓒ Paramount Pictures Corporation

作戦を成功させ生き延びる2人。マックスはイギリスで結婚しようと伝え、マリアンヌは受け入れる。

試練、仲間、敵

イギリスの内勤を勤めるマックス。マリアンヌは入国を認められ、2人は結婚し、アナを授かる。

最も危険な場所への接近

マックスが軍に呼ばれ、「マリアンヌにドイツのスパイ疑惑がある」と言われる。
マリアンヌの潔白を証明するために囮の情報を使った作戦を命じられる。

マリアンヌがスパイならばマックスが殺さなければならず、裏切れば2人とも処刑だ。

最大の試練

マリアンヌ画像引用元:ⓒ Paramount Pictures Corporation

マリアンヌ潔白の証拠を自ら危険を犯して探すマックス。
そして「マリアンヌはピアノが得意だった」という情報を得る。

帰路

マリアンヌにピアノを弾かせるマックス。

が、マリアンヌは弾けない。「アナを人質に脅された」と告白する。囮の情報もドイツに送ってしまった。

激昂するマックスだが、マックスに対する愛は真実だと告げるマリアンヌ。

復活

マリアンヌ画像引用元:ⓒ Paramount Pictures Corporation

マリアンヌを連れて逃亡を図るマックス。マリアンヌに付いていたドイツ兵を始末する。

飛行場に着いた2人だったが、上司に捕まってしまう。
マリアンヌはマックスにアナを託し、自決する。

宝を持って帰還

マックスとアナは牧場で平和な生活を送っている。

映画『マリアンヌ』のテーマ

マックスとマリアンヌはナチス・ドイツ要人暗殺のために夫婦を偽装し、さらにマリアンヌはフランスの工作員と二重に偽装をしています。

しかしマリアンヌには作戦を成功させる秘訣を心得ています。二人が初めて出会った直後のシーンで、

 

感情は偽らない

 

とマリアンヌは語っています。このセリフは作戦のことだけではありません。

悲劇のクライマックスとなりましたが、マリアンヌは後悔のない人生を送ることが出来たのです。

映画『マリアンヌ』をさらに詳しく

「ヒーローズ・ジャーニー」ともう一つ大切な要素「三幕構成」を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
飛行機の音と共にタイトル。
モロッコの砂漠に降り立つマックスの後姿で始まります。

戦時中、誰もいない砂漠、近づく車に銃を構える。何か危険なことをしているとわかります。

続く車内のシーン。
用意されたトランクの銃や金を見せ、「あなたの妻」と説明することで偽装して潜入する工作員だとわかってきます。

マックスが基地を飛び立つ前に作戦の説明を受けていたと思いますが、それらのシーンを使わずにいきなりパラシュートで降り立ち、最低限のセリフと映像で観客に説明しています。同じことを説明するならば、こちらのほうが手っ取り早いですね。

そして目印のハチドリを見つけ、二人が初めて出会います。

マリアンヌの登場も、人が移動して、後姿が見え、振り返って顔が見える。のように少しづつ情報を与えて印象付けています。
マリアンヌはマックスにとって賢者の役割をしています。

作戦のためにマックスの設定を考え、フランス語のなまりを直し、そしてもっとも重要な「愛」を与えます。

20分になって、マックスはドイツ将校を殺します。
緊急事態に対応し、暗殺するマックスの腕とこの映画の世界観を決めています。
今回は殺す側でしたが、間違えればいつ死んでもおかしくない命がけの世界です。

第一ターンイングポイントはナチス・ドイツ高官暗殺作戦を成功させ、脱出する、です。

43分と少し遅いタイミングですが、それまでに「ナチス・ドイツ高官暗殺」という明確な目標。作戦は成功するか、二人は生き延びるのか、というサスペンスがあるために退屈せずに観ることが出来ています。

第二幕

軍に呼ばれ地下に降りていくヴァタン。見下ろす視点が不吉を予感させます。

55分からマリアンヌのドイツスパイ疑惑を説明するシーンが始まりますが、それまでの時間はマックスの目標がなくなっているために少し物語が停滞しています。
それを補うために空襲の中の出産など映像的に盛り上がるように工夫が見られます。

Vセクションとのワンシーンの中にマリアンヌの疑惑、証明する方法、マリアンヌがスパイだった場合マックスが殺さなければならない、裏切れば処刑。と後半の展開に向けて説明すべき点が詰め込まれています。

代償の大きさがわかっていることで、マリアンヌはシロかクロかの緊張感が高く設定されます。

シーンの終わりは61分。
前半はマックスとマリアンヌの恋愛を描き、後半はマリアンヌのスパイ疑惑を暴くマックスという構成になっています。

マリアンヌの運命を決める電話と同時に愛を表すセックスを入れるところは面白いですね。
そしてそのセックスにもマックスの心境の変化をしっかりと表されています。

アリバイ作りの献血を確認するマリアンヌ。
本当に浮気を疑っているのか、マックスを疑っているのか。
マックスと同様に観客の心も不安になります。

パーティーのシーン。
ほぼリアルタイムの長いシーンの中で、一階と二階、中と外を繰り返し移動しながら話が進んでいきます。これも映像が単調にならないための工夫です。

最後に飛行機の墜落。
迫力とともにマリアンヌとアナへの愛を表す行動をして終わります。

マリアンヌも翌日に3人ですごそうと話し、マックスの去ったあと手紙を書いています。
なにかを悟っていたのでしょう。

マックスは自らディエップへ向かう。これが第二ターニングポイントです。

第三幕

スパイをさせられていたマリアンヌとともにマックスは逃亡を図る。

マックスは冒頭、「セックスをすると任務を失敗する。愛よりも国」という考えでしたが、愛のために国を裏切るように変化しました。

悲劇のためにここからは大雨になります。

エージェントを殺す中でマリアンヌの視点からシーンを描くように変化していきます。
マリアンヌは偽った姿でマックスと出会い、愛してしまった。
そしてアナを人質に取られ、マックスを裏切りスパイをせざるをえなくなった。

最初から最後までマリアンヌは秘密を抱え、悩んでいたはずですがそのシーンは描かれていません。
観客にすらその姿を見せないことで、最後まで自分を持って生きてきた女性であることを表しています。

マリアンヌの最後のシーン。
引いた場所からを映すことでよりマックスの戸惑い、辛さ、悲しさなどを表現しています。
ラストはマリアンヌの手紙のナレーションとともに、マックスと成長したアナが牧場を歩く後姿、そして結婚した時の写真。

オープニングは誰もいない、何もない砂漠の中一人でいるマックスの後姿から。
マリアンヌはマリアンヌ・ボーセジュールからマリアンヌ・ヴァタンへと。

二人は大きく変化して映画は終わります。

さいごに

暗殺シーン、銃撃戦などはとても緊張感が高く手に汗を握り、悲しいラストになりましたが、見終わった後は深い感動を与える。
素晴らしい映画でした。

次回はラグビーワールドカップ開幕、テレビでも9月20日に放映されるクリント・イーストウッド監督、モーガン・フリーマン主演の『インビクタス 負けざる者たち』を研究します。

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– fin –

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akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」で連載スタート。 生粋のリバプールファン。
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