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映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の解説(ネタバレ有)愛を取り戻すために「今」何をするか。

ヒストリー・オブ・バイオレンス
akira
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こんにちは。
akira(@akira_movielabo)です。

今回の深掘り映画は『ヒストリー・オブ・バイオレンス』です。

ヒストリー・オブ・バイオレンス

2005年公開のバイオレンス・サスペンス映画。
監督デヴィッド・クローネンバーグ。脚本ジョシュ・オルソン。96分。

アカデミー賞では脚本賞ノミネート、カンヌ国際映画祭ではパルム・ドール獲得。
トロント映画批評家協会賞で作品賞、最優秀カナダ映画賞、監督賞。
シカゴ映画批評家協会賞で監督賞、全米映画批評家協会賞で監督賞を受賞などなど、たくさんの賞を受賞しました。

エディを演じたマリア・ベロ、リッチーを演じたウィリアム・ハートなど、脇役たちの評価もとても高い作品です。

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映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』が観られる配信サービス

この記事はネタバレも含むので、1度観てから一緒に考察していくのがおすすめです。
下の表から自身の使っているサービスで観られるか確認してみてください。

配信状況

サービス配信状況配信種別
U-NEXT定額 ※1
Prime Videoレンタル ※2
NETFLIX×
Hulu×
Disney+×
TSUTAYA DISCAS ※3定額 ※1

※1 定額は毎月支払うサービス利用料内で観ることができる見放題作品です。
※2 レンタルは見放題作品に含まれておらず、別途レンタル料が発生します。
※3 TSUTAYA DISCASは宅配レンタルサービスです。

この記事の情報は、2023年12月時点のものです。最新の配信状況はお使いいただくサービスにてご確認ください。

個人的にオススメのVODサービスは、取り扱っている作品数が段違いなU-NEXT

U-NEXTはトライアル期間が1ヶ月あるので、使い心地を自分で実際試せます。まだ使ったことがない人は、ぜひこの機会に試してみてください。

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映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のヒーローズジャーニー

それでは、映画の流れがヒーローズジャーニーの法則に沿って進んでいくのかみていきましょう。

ヒーローズジャーニーって何?

という方はこちらの記事をどうぞ!!

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日常世界/賢者との出会い

田舎町でダイナーを営むトム・ストール。妻のエディ、息子のジャック、娘のサラと幸せに生きている。

冒険への誘い

トムのダイナーに二人組の強盗がやってくる。店員を殺そうとした強盗を殺すトム。

冒険の拒否

メディアにも取り上げられ、ヒーローとなるトム。しかし本人は日常に戻りたいと願っている。

戸口の通過

フォガティがトムの店を訪れる。トムをジョーイと呼ぶフォガティに、人違いと話すトム。

試練、仲間、敵

エディが保安官に知らせ、警告してもらう。保安官が調べると、フォガティはフィラデルフィアのギャングであった。

最も危険な場所への接近

エディやサラまでも付き纏うフォガティ。ジャックは学校で問題を起こし、停学処分になってしまう。説教するトムに、ジャックは家を飛び出していく。

最大の試練

ジャックを連れてやってくるフォガティ。フィラデルフィアに来いと話す。
フォガティの手下を殺すが、深手を追ってしまうトム。銃を向けるフォガティを撃ち殺すジャック。

報酬

入院したトム。
エディが真実を知りたいと話し、トムはジョーイだと話す。ジョーイからトムに生まれ変わり、その後エディと出会った。絶望するエディ。

帰路

フォガティの行動に疑問を持つ保安官だが、エディはトムはトムだと説明する。
しかしエディとジャックはトムを拒絶する。

復活

トムの兄・リッチーから電話があり、来いと話す。
フィラデルフィアに向かい、リッチーと会うトム。トムは過去にフォガティの縄張りを荒らし、消えていった。そのせいで跡目争いから脱落したと怒りをぶつけるリッチー。
トムを殺そうとするが、トムはリッチーら組織を皆殺しにする。

宝を持っての帰還

家に帰ってきたトム。サラとジャックはトムを受け入れる。見つめ合うトムとエディ。

映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のテーマ

愛はどんな問題も乗り越えられるのか?

これがテーマです。

トムのトラックは最初壊れていましたが、すぐに修理することなく放置してました。
終盤になってやっと修理し、リッチーの元へと向かいます。

トラックの故障と殺し屋の過去は同じこと。逃げていても勝手に直ることはなく、残してきた問題を解決しなければ、いつまでも前に進めません。

もしもあなたが愛していた人が殺し屋だったら。
長い間隠されていたとしたら。
過去を精算すれば許されるのか?

最後のシーンの答えは観客に問いかけています。

映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』をさらに詳しく

ヒーローズジャーニーとは別に、もう一つ大切な要素が『三幕構成』。
三幕構成を用いてワンシーンずつみていきます。

第一幕

オープニング。
モーテルから出てくる二人の男。長旅をしているようだ。一人がチェックアウトし、もう一人が水を汲みに受付へ。ホテルの夫婦の従業員が殺されている。気にしないで水を汲んでいると、奥の部屋から少女が出てくる。銃を向け、撃つ男。

『暴力』がテーマの映画なので、オープニングは凄惨な殺しのシーンから始まります。
あっさりと二人を殺し、さらに少女まで殺すことで残忍な二人組と言うことをはっきりと印象付けています。

奥から手前に出てくる二人、横に移動する車、奥に向かう男。二人を追うカメラの動きも、縦→横→縦とワンシーンで繋げていて面白いですね。張り詰めた緊張を感じさせます。

その直後のシーンでは、叫んだサラを心配したトム、ジャック、エディたちが集まってきます。家族の仲の良さを説明し、暴力に対抗する家族の愛を示しているシーンです。

朝食のシーン。
トムがサラにオレンジジュースを、ジャックにはコーンフレークと牛乳を渡しています。ラストシーンとは真逆の行動をしていますね。

続い自分の食堂に出勤するトム。
店の前のゴミを拾うことで、店への愛と性格を表しています。

店内では常連客とミックが『一番ぶっ飛んでいた恋人』の話をしています。これはもちろん後にわかるトムのことを意識した話題の選択ですね。

全然関係のない話をしているより、テーマやストーリーに沿った話にすることでよっぽど面白いシーンになります。

ジャックは問題の解決に暴力を使わず、話術と自分を徹底的に下に見せることを用います。じゃあトムは?

トムとエディのラブシーン。
二人の深い愛を印象付けると同時に、大人になってから二人は出会ったと言うことも説明しています。

冒頭の二人組がトムの食堂を訪れるシーン。
あれだけ凶悪な二人組が映画の敵になると思いきや、このタイミングでトムが二人を殺します。

凶悪で人数不利、武器もない状況でも素早く動き、二人を倒す。トムは只者ではないと言うことを観客は気付き、同時にこの映画の深さも感じさせます。

オープニングの強烈な印象があるからこそですね。

トムの店にフォガティが現れる。これが第一ターニングポイントです。

オープニングのモーテルでの血や、家の前に止まる黒い車など、はっきりと死体やフォガティを出す前に明らかでもいいので何か匂わすものを出すと、期待や想像が膨らみますね。

第二幕

トムとフォガティが会うシーン。エディのように過去を何も知らない人も居合わせることで、保安官のサムに電話したりサムから情報を得る行動が違和感なく進みますね。

時間もシーンも省略できるのですごくいいアイディアです。

声を荒げず、保安官にも堂々と話すフォガティ。冒頭の二人組のさらに上を行く悪を感じさせます。

サムがトムの家を訪れているシーン。余計な挨拶は省略し、説明している所からシーンを始めています。さらにサムが証人保護プログラムについて尋ねます。のちのシーンでも真実を知りたいサムが同じように尋ねますが、トムとエディの状況の変化によって答えの意味が変わって見えますね。観客の知っている情報の有無で、キャラが同じ行動でも捉える意味が変わってしまうのが映画の面白い所です。

店に向かうトムと共に郵便ポストが映ります。冒頭のシーンでは『ストール』の文字がはっきりと映りますが、このシーンでは『ストール』の文字が隠されていますね。

トムは『ストール』ではないことを暗示させています。

ジャックは問題解決のために暴力を使うように変化してしまいます。これまで暴力に無縁だった家庭でしたが、暴力に触れてしまうことで思春期のジャックに大きな影響を与えてしまっています。

そんなジャックを説教するトムですが、トム自身問題解決のために暴力を使うという矛盾を抱えていますね。矛盾を抱える主人公は複雑で、魅力的でもあります。

フォガティが死ぬ。しかしこれで問題解決とはいかず、ここからトムにとってもっと大きな問題である家庭の崩壊が始まります。

トラックを直しているトム。過去にやり残してきた問題を片付け始める。

そうすればきっと『息を吹き返す』ことができるはずです。

この映画では『助ける・手伝うこと』が愛の象徴のように扱われていますね。

愛のあるうちはエディが店まで送ったり、店を手伝ったり。愛がない時は、怪我を負ったトムは一人で荷物を持って階段に昇ったり、エディはコーヒーを断ったりしています。

そしてレイプのようなセックスシーン。冒頭との対比です。

リッチーのいるフィラデルフィアに向かうトム。
これが第二ターニングポイントです。

第三幕

クライマックス。
リッチーの屋敷を訪れ、皆殺しにするトム。河で血を洗うシーンはまるで禊のようです。

優しく出迎え、感情を表に出さずに殺そうとするリッチーは良いキャラクターですね。

ラストシーン。
家に帰ってきたトム。サラ、ジャックとトムを受け入れ…見つめ合うエディとトム。ここで映画は終わります。

セリフがなくてもキャラの行動で心情がわかり、最後の答えは観客に任せるというすごいシーンです。

さいごに

シンプルで分かりやすいストーリー、張り詰める緊張感とあっという間のアクション。そして深い愛。素晴らしい映画でした。

次回は『ダーティ・ダンシング』を研究します!

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-fin-

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akira
1990年生まれ。 映画を、物語・シナリオの側面から深く「面白さ」を知ってもらうために「movie labo」をスタート。 生粋のリバプールファン。
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